
この記事の内容
タイ語の翻訳アプリは、「会話をする」「文字を読む」「会議を記録する」のどれが必要かで選びます。 タイ語対応と書かれていても、音声入力やカメラ、オフラインで使える範囲は製品ごとに違います。
通信がない場所での音声会話や仕事の会議記録にはVoicePing、旅行中の会話とメニューの確認にはGoogle翻訳やPapagoが候補です。旅行の一文を確かめながら話すVoiceTra、短い音声や文章を訳すMicrosoft Translator、翻訳専用の端末を用意するポケトークS2も比較できます。
この記事では6製品の使いどころと制約を整理し、出発前に試す内容まで紹介します。掲載順は翻訳精度の順位ではありません。料金・公開仕様は2026年9月16日に確認しています。
まずは翻訳するものに合わせて選ぶ
目の前の相手と話すときは、1台のスマートフォンを交互に使えると便利です。看板やメニューならカメラで文字を読み取り、会議なら参加者への字幕共有と記録の保存まで考えます。
| 製品 | 向いている使い方 | 主な条件・制約 |
|---|---|---|
| VoicePing | 圏外でタイ語の会話を翻訳する。別機能のMeeting Botでオンライン会議を記録する | オフラインはモデルの事前取得が必要。Meeting Botは通信と入室許可が必要 |
| Google翻訳 | 短い会話と、メニュー・看板の画像翻訳を1つのアプリで行う | 日タイの音声会話には通信を準備。機能は端末・言語で異なる |
| Papago | 旅行の一言を音声で訳す。翻訳結果を大きく見せる | タイ語はオフライン翻訳の対象外。iPhoneでは音声認識の許可も必要 |
| VoiceTra | 道案内などの短い会話を、日本語への再翻訳でも確かめる | 個人旅行者の試用向け。通信が必要で、長期の業務利用には別途検討が必要 |
| Microsoft Translator | タイ語の短い音声や、入力した文章を翻訳する | 複数端末の会話機能は廃止。タイ語の画像翻訳は対応一覧に記載なし |
| ポケトーク S2 | 受付・店頭などで、翻訳用の端末を共用する | 本体代と充電が必要。通信付きでも圏外の新規翻訳はできない |
アプリを入れた後は、言語設定で「日本語」と「タイ語(Thai/ภาษาไทย)」を確認してください。文字を訳せることと、タイ語の声を聞き取れることは別の条件です。 各製品の説明に、機能別の公式情報へのリンクを付けています。
VoicePing:圏外の会話と、タイ語の会議に

VoicePingは、通信がない場所でのタイ語の会話にも使えます。モバイル版で必要なモデルを事前にダウンロードし、日本語とタイ語を選んでおけば、音声認識と翻訳を端末内で処理します。出張先や移動中に、話した内容を画面で確かめたい場合に向いています。オフライン翻訳の対応言語と準備

タイの取引先や拠点とのオンライン会議には、別機能のMeeting Botを使います。会議の発言を文字に起こして翻訳し、参加者へ共有する仕組みです。Meeting Botの基本操作
Meeting BotにはZoom・Microsoft Teams・Google Meetなどの会議URL、日時、言語を指定します。参加者は共有リンクやQRコードから開いたブラウザ画面で、原文と翻訳を読みます。会議後の処理が終わると、文字起こし・AI要約をもとに担当者や次の対応を確認できます。Meeting Botの機能と始め方
たとえば「来週、現地で確認します」という発言があったら、誰が、どの拠点で、何日に確認するのかをその場で聞き直します。会議後も原文を読み返せると、要約だけでは分からない条件を確認しやすくなります。
使う前の準備は機能ごとに違います。モバイルのオフライン翻訳は、圏外になる前にモデルの取得を済ませてください。Meeting Botは通信と主催者の入室許可が必要です。字幕は会議サービス本体の字幕欄には出ず、別のブラウザ画面で読みます。
無料プランはオンライン月90分に加え、モバイルのオフライン翻訳を1日60分まで使えます。個人プランは1ユーザー向けで、オンライン月450分・月払い3,163円(税込)から。オフライン翻訳は有料プランで無制限です。会議の参加人数と、オンライン・オフラインそれぞれの利用時間でプランを選びましょう。プランと料金
Google翻訳:会話と、メニュー・看板の読み取りに

旅行中にアプリを何度も切り替えたくないなら、会話と画像翻訳をまとめて使えるGoogle翻訳が便利です。タイ語のメニューを撮影したり、ホテルのスタッフに短い質問をしたりできます。Google翻訳の機能
Androidのライブ翻訳では、日本語とタイ語が対象言語に含まれます。「会話」は交互に話して音声を再生するモードで、音を出したくない場所では「テキストのみ」を選べます。対面モードでは画面を分け、自分と相手がそれぞれの向きから文字を読めます。ライブ翻訳の言語・モード
カメラ翻訳では、文字が小さい、暗い、飾り文字になっていると誤って読み取る場合があります。訳文だけを拡大するより、まずメニューの1品や案内板の1行を鮮明に撮り直すほうが、確認しやすくなります。画像翻訳の操作と読み取り条件
言語ファイルをダウンロードしても、タイ語の音声会話まで圏外で使えるわけではありません。 Android向け公式ヘルプのオフラインのライブ翻訳は、対応Pixel端末と一部の英語を含む言語ペアに限られます。日タイの組み合わせは掲載されていないため、会話には通信環境を用意してください。
Papago:短い一言を訳し、画面を大きく見せる

PapagoはNAVERの翻訳アプリです。タイ語のテキスト・音声・会話翻訳に対応しています。音声翻訳の結果を読み上げるほか、全画面に拡大して相手に見せたり、お気に入りに保存したりできます。店頭での質問を短く訳し、画面を見せて確認する使い方に合います。公式アプリの機能 /音声翻訳の操作
iPhoneでタイ語の声を入力するときは、マイクに加えてiOSの「音声認識」の許可が必要です。公式アプリ説明では、タイ語の音声・会話翻訳にOSの音声認識を使うと案内しています。文字入力はできるのに音声入力が動かない場合は、この権限も確認します。
オフライン機能はありますが、対象は韓国語・英語・日本語・中国語(簡体字)の組み合わせです。タイ語は対象外です。 また、Web版の機能やPapago Plusの条件を、無料のモバイルアプリと混同しないようにしましょう。オフライン翻訳の対象言語・機能
VoiceTra:訳した一文を、日本語に戻して確認する

「聞きたいことが相手に伝わるか」を確かめながら旅行会話を進めたいなら、VoiceTraが候補になります。情報通信研究機構(NICT)が提供する無料の研究用アプリで、タイ語は音声入力・音声出力に対応しています。対応言語と機能
入力した文、翻訳結果、その訳文を自分の言語に戻した結果を見比べられます。たとえば集合場所を尋ねたつもりなのに、再翻訳では集合時間の質問になっていたら、言い直すきっかけになります。再翻訳は意味のずれを見つける手掛かりで、正しさを保証するものではありません。
VoiceTraは個人旅行者の試用を想定しており、通信がない場所では使えません。 NICTは継続的な業務利用には民間サービスの検討を案内しています。履歴に保存されるのも自分に設定した言語の発話で、相手の発話履歴は残りません。商談の両側の発言をまとめて保存したい場合は、会議記録用の機能を選びます。利用目的・通信・履歴の範囲
Microsoft Translator:短い音声・テキストの翻訳に

Microsoft Translatorは無料の翻訳アプリです。機能別の対応表では、タイ語はテキスト、音声入力、翻訳結果の読み上げに対応しています。目の前の相手が話した短い文や、メッセージの意味を確認する用途で比較できます。タイ語の対応機能
ただし、同じ表のタイ語の「Image」欄には対応の表示がありません。アプリ全体に画像翻訳があっても、タイ語のメニューを読めるとは判断しないでください。
また、2026年9月時点の公式アプリ説明と更新履歴には、マルチデバイス間の会話機能を廃止したと記載されています。複数人が各自の端末から参加する会議のために、以前の紹介記事だけを見て選ぶのは避けましょう。現行アプリと更新内容
Android向けFAQも、オフラインでは音声・会話翻訳を利用できないと説明しています。タイ語で音声を使うなら、通信ができる場所で試してください。オフライン機能の制約
ポケトーク S2:受付や店頭に翻訳用の端末を置く

個人のスマートフォンを仕事の受付で共用しにくい場合は、翻訳専用機という選び方もあります。ポケトークS2はタイ語の音声入力・音声出力に対応し、話す言語と翻訳先を選んで使えます。対応言語一覧
日本向けのS2は、SIM通信2年付きで1台36,300円(税込)です。翻訳用の機器を常設できる反面、本体を購入し、充電・保管する手間が増えます。本体と通信期間の価格
通信費が含まれていることと、オフラインで翻訳できることは別です。ポケトークはクラウドで翻訳するため、電波が届かない場所では新しい会話を訳せません。含まれる通信期間が終わったら、通信の延長かWi-Fi接続が必要になります。通信期間と延長
無料アプリ・月額プラン・端末代を分けて比べる
旅行中の短い会話と、毎週の会議では必要な費用が違います。アプリ代が無料でも、現地で使う回線やローミングの料金は別に確認してください。
| 製品・プラン | 金額・支払い単位 | 無料枠・追加条件 |
|---|---|---|
| VoicePing | 無料プラン:0円 個人プラン:月払い3,163円(税込)から/1ユーザー | 無料:オンライン月90分、オフライン1日60分。個人:オンライン月450分から、ゲストリスナー最大5名。オフラインは有料で無制限。チームのオンライン分数はワークスペース内で共有 |
| Google翻訳 | 無料アプリ:0円 | 個人向けアプリの条件。開発者向けAPIの課金とは別。対応機能は言語・端末による |
| Papago | 無料アプリ:0円 | ここではモバイルアプリを比較。Papago Plusは別のサービス条件 |
| VoiceTra | 無料アプリ:0円 | 個人旅行者の試用を想定した研究用アプリ。インターネット接続が必要 |
| Microsoft Translator | 無料アプリ:0円 | Microsoft 365やTeamsの有料機能とは別。複数端末の会話機能は廃止 |
| ポケトーク S2 SIM通信2年付き | 本体購入:36,300円(税込)/1台 | 通信2年を含む。期間終了後は延長料金またはWi-Fiが必要。法人限定の無料試用は購入価格とは別条件 |
ポケトークには、導入を検討する法人向けに10日間の無料お試しがあります。旅行者向けの無条件な無料貸出ではないため、申し込み対象を確認しましょう。試用・レンタルの条件
オフライン対応は「タイ語で何ができるか」まで見る
タイ語の音声会話を圏外でも訳したいなら、VoicePingのモバイル版が候補です。 通信できる場所でアプリと必要なモデルを準備し、日本語とタイ語の組み合わせを選びます。翻訳中の音声・原文・訳文は端末内に保存されます。対応言語とデータの保存先
一方、Papagoはオフライン翻訳の対象言語にタイ語を含みません。Google翻訳は、文字・画像翻訳用の言語ファイルと、オフラインのライブ翻訳で条件が違います。VoiceTraとポケトークは通信が必要で、MicrosoftのAndroid向けFAQもオフラインの音声翻訳を対象外としています。
オフライン対応のアプリでも、出発前に使う端末で確かめておきましょう。
- VoicePingは必要なモデルを取得し、機内モードでWi-Fiも切って、日タイ双方の音声入力と翻訳表示を試す。
- ホテルや訪問先から受け取ったタイ語の住所・施設名を、地図と一緒に端末へ保存する。
- 送迎場所や集合時刻は、通信できるうちに相手と確認し、画面を保存する。
- 文字・画像のオフライン翻訳を使う場合は、日本語とタイ語のダウンロード可否をアプリ内で確認する。取得後は機内モードにし、Wi-Fiも切って同じ操作を試す。
Google翻訳では、言語名の横にダウンロードボタンがない言語は取得できません。出発直前に思い込むより、使う端末で表示を確認しておきましょう。言語ファイルの取得方法
伝わらないときは、声・文字・意味の順に確かめる
翻訳が不自然なとき、原因が翻訳そのものとは限りません。マイクで聞き取った文字が違っていたり、写真の一部が読めていなかったりする場合もあります。入力を確かめてから訳文を見直します。
タイ語をカタカナで読み上げるより、相手の声や文字を使う
タイ語には5つの声調があり、声の高さの変化で意味が変わります。カタカナだけではその違いを表し切れません。聞き取った音を自分でカタカナに置き換えて入力するより、相手に短く話してもらうか、タイ文字で書いてもらうほうが確認しやすくなります。東京外国語大学によるタイ語の解説
日本語から訳すときも、一度に条件を詰め込まないようにします。「あれを、さっきの場所で、いつもの時間に」のような言い方は、何を指すのかが伝わりません。施設名、日時、行動を具体的にして、一文ずつ返事を待ちましょう。
送迎を相談する場合の伝え方の例
「明日の朝8時に、この地図の入口へ迎えに来てください。」
「目的地は、この予約画面のホテルです。」
「料金は1台分ですか。1人分ですか。」
地図の地点、予約画面、数字を相手と見比べます。翻訳が自然な文章でも、入口や料金の単位が合っているかは別に確かめます。
メニューは1品ずつ撮り、読み取った文字を確認する
タイ文字の細かい部分がつぶれる写真では、訳文も確認しにくくなります。メニュー全体を遠くから写すより、知りたい品名と説明を明るい場所で撮影してください。価格欄まで含めると、別の料理の値段を読んでいないかも確認できます。Googleが案内する画像の読み取り条件
翻訳が途中で切れたら、原文表示に戻して認識された範囲を見ます。装飾された店名や施設名は、意味を訳すより、公式の表記や地図のピンを相手に見せるほうが伝わる場面もあります。
出発前・会議前に、自分が使う一往復を試す
選んだアプリを使う端末に入れ、日本語からタイ語、タイ語から日本語の両方向を確認します。マイク入力、翻訳表示、読み上げまで一度通すと、権限や音量の設定漏れに気づけます。
旅行なら、訪問先の住所と集合時刻を用意し、相手へ画面を見せるところまで試します。仕事なら、実際に使う製品名や工程名を含む短い会話で確認してください。「翻訳できた」だけで終わらせず、必要な内容を相手と確認できるかが選ぶ基準になります。
通信が不安定な訪問先なら、VoicePingのオフライン翻訳 で必要なモデルを準備し、圏外でも一往復の会話ができるか確認しましょう。オンライン会議の記録には、VoicePing Meeting Bot を短い社内会議で試し、Botの入室、字幕の共有、会議後の記録確認まで通しておくと、本番の役割分担が決まります。