働き方改革の一環である「多様な働き方」と「長時間労働の是正」を推進するためには、これまでよりも短い時間で結果を出さなければなりません。
限られたリソースでより大きな成果を上げるには、従来の仕事のしかたを一から見直さなければならないこともあるでしょう。
しかし、慣れたやり方を変えたり新しいものを取り入れたりすることで、逆に生産性の低下を招いてしまうこともあります。
これからの働き方では、労働環境の変化に対応し、生産性を向上させることが急務となるでしょう。
本記事では、多様な働き方の中での生産性アップに欠かせない「コミュニケーション」に焦点を当て、チームの理想的な連携をサポートするツールの可能性を探ります。
目次
Toggle生産性とは何か
ビジネスにおける生産性向上の必要性が叫ばれていますが、そもそも「生産性」とは何のことなのか、ピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは、
「生産性とは何か?」
「何が求められているのか?」
を理解しておく必要があります。
生産性の考え方
生産性とは、労働力の投入量に対する生産量の比率のこと。
「生産性=生産量(アウトプット)÷投入量(インプット)」
の式で考えることができます。
例えば、
- 5人体制で1日あたり100個の商品を作るA社
- 1人体制で1日あたり30個の商品を作るB社
では、B社の方が生産性が高いと考えることができます。
ただし、生産性の基準は業種や会社の規模により異なりますので、自社の生産性が高いか低いかを測るには、同規模の同業他社と比べなければわかりません。
また、アウトプットは量だけではなく品質も含まれますので、同じ生産効率でより高品質のものを作っている場合は生産性が高いと言えるでしょう。
仕事での生産性とは
仕事の生産性は「労働生産性」で測ることができます。
「労働生産性」とは、1人あたり(または1時間あたり)の生産量のことです。
けれども、仕事で「生産性を高める」という目標を掲げた場合、前述のような数値による生産効率の話とは少々ニュアンスが異なると感じることがあるのではないでしょうか。
職場での「生産性向上」は、単なる労働量と生産量の比率ではなく、仕事の質や従業員の満足度といった目に見えない部分も含めた大枠でとらえられている傾向があります。
現状と目標を数値化しにくいことが、生産性に問題意識を持ちつつも、具体的な解決策が抽象化してしまう原因の一つです。
生産性向上することのメリット
なぜ今、生産性向上が求められているのか。
それは、今後の労働市場の変化の中で企業が生き残るために避けては通れないものであるからです。
労働力不足への対応
国際的に見た現在の日本の生産性は、高いとはいえない水準にあります。
さらに、少子高齢化により労働人口はこの先減少していくという事実があります。
労働力の不足が確実視される中で業績を維持するためには、1人あたりの生産性を引き上げるしかありません。
ワークライフバランスの実現
少人数で対応しなければならないからといって、常に業務に余裕がない状態が続けば、従業員が離れていってしまいます。
高品質の商品やサービスを提供し、顧客満足度を上げるためには、まず従業員の満足度を上げねばなりません。
残業時間の減少や休暇の取得で従業員のコンディションを整えることで、パフォーマンスが向上し、さらなる生産性の向上といった好サイクルが生まれます。
コスト削減
生産性が向上すると、より少ないリソースで成果物を生み出せるようになります。
浮いたコストを商品開発や品質向上に充てることで、事業の拡大・発展が望めるでしょう。
チームの生産性向上のために必要なツール
生産性向上のためにぜひ活用したいのが、ITツールです。
生産性を向上させる施策としては、人材配置の見直しや業務のアウトソーシングなどが思いつきますが、これらを実施するには安くはないコストを見込む必要があります。
失敗した場合のリスクも考えると慎重に進めなければなりません。
その点、ITツールは比較的短期間で導入でき、低額で利用できるものも多くあります。
少人数で試してから全社へと段階的に導入を進めることもできますし、合わなければ解約や乗り換えも容易です。
生産性の向上を目的として業種を問わずおすすめできるITツールには、以下のようなものがあります。
タスク管理ツール
タスク管理ツールを使ってタスクを可視化することで、優先順位を明確にしたり、処理もれを防いだりする効果があります。
さらに、チーム全体でタスクの情報を共有できるツールを利用すれば、チーム内の連携を強化し、プロジェクト全体の業務効率が上がります。
チームのタスクを一元管理することで、人員配置や業務の最適化の指標とすることもできるでしょう。
時間管理ツール
毎日なんとなく時間を使っていたのでは、生産性は上がりません。
時間管理ツールを使用して、ひとつひとつの業務にどれだけの時間を使ったのかを把握することで、時間の使い方や業務の進め方を振り返り、改善することができます。
時間を意識して取り組むことで、自然と作業効率も上がります。
生産性向上における最大の鍵は「コミュニケーションツール」
タスク管理ツールや時間管理ツールなどで業務を的確に管理することは、生産性向上のための最短ルートのように思えますが、実はそれだけでは十分ではありません。
多様化する働き方ーーテレワークやハイブリッドワークによって、コミュニケーションに問題を抱えるワーカーは多く、業務効率低下や意欲の減退の一因になるという新たな問題が顕在化しています。
テレワークによる生産性の低下と深刻なコミュニケーション不足が明らかに
アドビ社が行った「COVID-19禍における生産性と在宅勤務に関する調査(Productivity/Work from Home Survey)」によると、在宅勤務を行った日本人のうち43%が「生産性が下がった」と回答しています。
また、在宅勤務における同僚とのコミュニケーション機会に関しては、日本人回答者の55%が「以前よりコミュニケーションが取りにくい」と感じていることがわかりました。
雑談のない環境ではストレスが解消できない
もう一つ、興味深い調査結果があります。
株式会社リクルートキャリアが2020年に行った「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査」によると、調査対象(テレワーク就業者)のうち59.6%がテレワーク実施前にはなかったストレスを感じており、そのうちの67.7%はストレスを解消できていないという結果が出ました。
さらに、テレワーク勤務中に雑談がある人とない人では、雑談がない人の方がストレスの解消ができていない割合が高く、両者の間には14.1%の差がついています。
この調査では、テレワーク中の雑談が「全くない」と回答した人が全体の35.6%にものぼりました。
テレワーク時のコミュニケーション不足がメンタルヘルスの低下にもつながっていることがわかります。
生産性向上のためのコミュニケーション課題点
コロナ禍で急速に広まったテレワークは、今では働き方の一つとしてすっかり定着しています。
感染防止のための出勤人数制限が解かれた後は、業務内容によってテレワークと出社を使い分ける「ハイブリッドワーク」が当たり前となりました。
これからは、対面頼みのコミュニケーションを改善しない限り、生産性向上は望めません。
すでに何かしらのコミュニケーション手段を導入していても効果が実感できない場合は、重要なポイントを見逃している可能性があります。
生産性低下の原因を把握し、的確に対処することが生産性向上への近道です。
声かけのハードルを下げる
オフィスでは、作業中にわからないことがあったらすぐにチームメンバーに相談して、その場で解決できました。
しかし、テレワーク環境では、たとえ携帯電話やチャットツールを導入していても、「気軽に人に相談する」というのが難しい場合もあります。
- 相手が忙しいかもしれないと思うと連絡しづらい
- ちょっとしたことで毎回電話するのは申し訳ないので、後でまとめて質問しよう
オフィスではコミュニケーションが得意だった人でも、テレワークやハイブリッドワークでは相手の状況がわからないため、気を遣いすぎてタイミングを逃してしまうケースがあります。
連絡や声かけのハードルを下げ、話したいことをため込まずリアルタイムに消化することが大切です。
コミュニケーションコストを減らす
リアルオフィスで隣の席の人に話しかけたり、同じフロアの人を呼ぶには、一言発するだけで済みます。
しかし、テレワークとなると、各段にコストが跳ね上がってしまいます。
例えば、「今からチームメンバーと軽くミーティングしたい」場合。
- カレンダーアプリで相手の予定を見て、不在でないことを確認
- チャットツールで今から会議できるか相談
- 相手から返事が来るまで待つ
- Web会議のURLを発行してチャットで送る
- Web会議ツールで会議を始める
これでは短時間の打ち合わせをするために、段取りだけで3分はかかってしまいます。
従業員全員が毎回これだけのコミュニケーションコストを払っていると考えると、全社的にはかなりのリソースを無駄にしていることになります。
けれども、コストを気にしてコミュニケーションを控えがちになることも膨大な損失です。
モチベーション維持のための現場感
オフィスでは、上司や同僚の目があるため、緊張感で自然とモチベーションが維持できます。
しかし、テレワークで人目がなくなれば気が弛んでしまうのは当然です。
チームメンバーの働きぶりも見えないため、「あの人が頑張っているから自分も努力しよう」と自分を鼓舞することもなくなります。
必要なときだけ連絡を取るのではなく、常に周りの会話が聞こえること、様子がわかることが、自然に意欲をかきたててくれるのです。
チームメンバーのコンディション管理
オフィスで顔を合わせていれば、「なんだか最近調子が悪そうだ」「仕事で悩んでいるようだ」というのは、相手の顔色を見ればわかります。
けれども、テレワークやハイブリッドワークでリアルで会う機会がないと、相手の様子がおかしくても異
変に気がつきません。
毎日連絡を取っていても、チャットなどの連絡手段では定型的な報告になりがちです。
上司がチームメンバーを十分に監督できない環境では、体調が悪いのに無理をしていたり、業務を抱えすぎて隠れ残業が発生したりといったリスクがあります。
作業時間を管理するだけではなく、チームメンバーのコンディションにも意識を向けることが生産性向上には不可欠です。
生産性を向上させるコミュニケーションツールの種類
コミュニケーションツールの導入で、どのような効果があるのか具体的に見てみましょう。
WEB会議ツール
コロナ禍を機に、ZoomなどのWeb会議ツールを導入する企業が増加しました。
Web会議ツールを使用するメリットは、対面での感染リスク防止だけに留まりません。
移動や出張コストの削減による恩恵が大きく、空いた時間を他の業務に充てたり、移動時間を考慮しないスケジュールが可能になったことで、商談やセミナー参加の予定が立てやすくなりました。
Web会議ツールは、コミュニケーション機会の損失を抑えるだけではなく、時間という貴重なリソースを有効活用できるツールでもあります。
チャットツール
チャットツールは、手段を簡素化したことでコミュニケーションを活性化させる効果があります。
メールのように書き出しの文章や形式にこだわる必要がなくなり、短文でのリアルタイムなやり取りでコミュニケーションの速度も大幅にアップしました。
スマホ対応のチャットツールは、外出先の待ち時間や移動時間にさっと確認できるので、外出が多く社内コミュニケーションの機会が少ない営業マンでも、チームの話題に乗り遅れる心配はありません。
仮想オフィスツール
仮想オフィスツールは、オンライン上に疑似オフィスを構築してコミュニケーションの場とする、新しい働き方に適したツールです。
ツール上ではアバター同士ですぐに会話を開始することができるため、コミュニケーションコストが低く、気軽なコミュニケーションを促進します。
生産性向上には仮想オフィスが効果的な理由
メンバーが離れた場所にいることが原因でコミュニケーションが減ってしまっているなら、仮想オフィスの出番です。
メールやチャット、Web会議などでの単発のコミュニケーションでは現場感や緊張感を維持できなかった人も、仮想オフィスに出社すればメンバーと同じ空間で仕事をしている感覚になり、モチベーションを上げることができます。
コミュニケーション量が圧倒的に増える
仮想オフィスでは、働く場所にかかわらず、同じ空間で一緒に働いている感覚を味わうことができます。
わざわざ電話をかけたりメールを書いたりしなくても、オンラインの人には直接話しかけることが可能です。
近くの人の会話を聞くことができるツールでは、面白そうな雑談に混ざることもできます。
仮想オフィスには、起動しておくだけで自然とコミュニケーションしたくなる効果があるのです。
メンバーの業務状況がリアルタイムでわかる
仮想オフィスツールには、他の人のオンライン状態を表示する機能があります。
同じ空間にいなくても今話しかけていいかどうかがわかるので、「今忙しかったらどうしよう」と悩む必要はありません。
利用中のアプリを表示する機能があるツールでは、「あの人は今プログラムを書いているんだな」「動画を見ているな」と、作業内容を推測できるため、会話のきっかけ作りにもなります。
コスト削減ができる
仮想オフィスツールは、テキストチャット、音声通話、画面共有、ホワイトボードなど、様々なコミュニケーションツールの集合体でもあります。
社内のメンバーとのやり取りはほぼカバーできるため、社内用に複数のツールを検討する必要がなく、コストを抑えることができます。
生産性向上に適した仮想オフィスツール3選
仮想オフィスツールの中でも、特に生産性向上に適したツールを厳選してご紹介します。
生産性のために設計された VoicePing
VoicePingは、テレワーク・ハイブリッドワークのハンデをなくし、シームレスなコミュニケーションを実現する仮想オフィスです。
注目すべきは、コミュニケーションコストを徹底的に削減した操作性。
アバターを近づけて声かけ・離れているメンバーもワンクリックで近くに呼べるから、働く場所にとらわれずストレスフリーなコミュニケーションが実現。
立ち話ではなく会議を行いたい場合も、VoicePing上の会議室にメンバーを招集してすぐに会議を始めることができます。
高機能な会議室は、会話を文字起こしして保存できるため、議事録の作成に気を取られず会議に集中できる環境です。
画面共有では、複数のツールを同時に立ち上げて共同作業が可能だから、テーブルの上に資料を広げてワイワイ議論しているような臨場感があります。
生産性管理に特化した機能が充実しているのも特徴。
オンラインログは、VoicePingにログインした時間やオンライン時間を自動記録。
メンバーごとにプロジェクトの作業時間もタイマーで記録できるので、自分の作業時間の振り返りやチームメンバーのマネジメントにも活用できます。
プラン・料金
- 無料プラン(1ワークスペース/1フロア/5アカウント) 永久無料
- スモールプラン(1ワークスペース/1フロア/15アカウント) 7,500円/月
- プレミアムプラン(1ワークスペース/5フロア/50アカウント) 20,000円/月
- エンタープライズプラン(ワークスペース・フロア数・アカウント数無制限)1ユーザー500円/月
近くの人と会話しながら作業も可能 mycrew
mycrewは、リモートワークの孤独感や不安を解消して生産性を上げるツール。
ハイブリッド出社体制でも、自分の勤務場所をステータス表示できるので、誰がどこで働いているのかがわかります。
リアルオフィスでは別のフロアに行ったり、他拠点へ電話をかけて連絡していたことも、mycrew上では一瞬で相手の元へ移動して直接話しかけることができます。
「わざわざ他フロアまで行ったけれどいなかった」
「電話をかけたら不在で何度も行き違いに」
といったコミュニケーションのストレスから解放されるのは、リアルオフィスにはないメリットです。
フロアにいるメンバー全員にメッセージを送信できる「フロアボード」は、雑談や、担当が誰かわからない場合に便利。
「Voiceフロア」は、音声をつなぎっぱなしで作業を行う機能。
周りの声が聞こえる環境で自分の作業を進めることができるので、まるでオフィスにいるときのような臨場感を感じることができるでしょう。
プラン・料金
- 要問い合わせ
リモート環境からリアルオフィスにアクセス tandem
アメリカのスタートアップ企業Tandem社が提供する仮想オフィスツール。
対応言語は英語のみですが、シンプルな画面レイアウトで直感的操作が可能なため、抵抗なく操作になじむことができます。
チームメイトのオンライン状況や利用中のアプリはリアルタイムに表示。
話しかけていい状態になったら通知する機能もあるので、ずっとステータスを見ている必要はありません。
Tandemにはアバターが仮想オフィスの中を自由に動き回る機能はありませんが、代わりに「ハイブリッドスペース」という交流場があります。
ハイブリッドスペースは、オフィス内に設置したビデオ会議システムやカメラ付パソコンでライブ映像を配信するもの。
画面上のハイブリッドスペースのライブ映像を確認して、参加したいときはクリックすれば、リモートからでも現地の会話に飛び入り参加できます。
プラン・料金(2022年7月1日改定)
- 4人まで:無料
- 10人まで:月額49ドル/年額499ドル
- 50人まで:月額99ドル/年額999ドル
- 人数無制限:月額399ドル/年額3999ドル
まとめ
生産性の向上は、目先の業務効率を追うだけでは達成できません。
特に、テレワーク・ハイブリッドワークでの生産性低下が顕著な場合は、まずコミュニケーションを活性化して情報格差やモチベーションの低下を防ぐ必要があります。
働く場所は様々でも、オフィスの活気や一体感を味わえる仮想オフィスツールを活用すれば、エンゲージメントと生産性を同時に高めることは不可能ではありません。
仮想オフィスツールが初めての方は、ぜひトライアルで効果を体感してみてください。