こんにちは、VoicePingの清水です。弊社は、グローバル企業における言語の壁問題を解決する、リアルタイム音声翻訳アプリを提供しているスタートアップです。最近では、LLMやGAIなどの技術も活用して、さらなる価値向上にも取り組んでいます。
今回はPLUG AND PLAY JAPAN さんにご招待をいただき、とても白熱した2日間のイベントに参加してきましたので、簡単ではありますが、レポートとして公開したいと思います。
PLUG AND PLAY JAPAN SUMMIT Summer/Fall 2023 Batch
進化し続ける日本のスタートアップエコシステム
PLUG AND PLAY JAPAN主催の SUMMIT Summer/Fall 2023 Batchですが、2023年9月14日15日の2日間で、日本とグローバルのスタートアップエコシステムに焦点を当てたイベントで、虎ノ門ヒルズ5Fにて開催されました。この2日間のイベントには、会場いっぱいの来場者がきており、コンテンツも非常に充実していました。
メインのプログラムは、Talk SessionとRound Table、また同時に、多数のスタートアップがピッチを披露し、ネットワーキングのためのブースも常にオープンしていて、盛りだくさんの2日間となっていました。
どのセッションも、スタートアップとグローバリゼーションに関する新たな視点を見つけられるものばかりで、非常に有意義なイベントでした。中でも特に印象的だったのは、日本のスタートアップエコシステムが多角的に進化している事実。スタートアップはもはや限られた起業家にとっての過酷な挑戦というものではなく、日本でも多くの人々が関わりをもち、イノベーションを生み出す源泉としてのエコシステムに変わりつつあるということです。
このブログでは、2日間のセッションの中でも個人的に印象的だったセッションに関して、Keynote として簡潔に紹介します。
Day 1
Round Table 1: 地域スタートアップエコシステムの変革と進化
- 地域スタートアップエコシステムの概要や事例
- グローバルを考えたスタートアップのエコシステムが愛知にどんどんできつつある
- 岐阜大学では、小学校向けの起業家教育を行っている所もある
- STATION Ai という、東海地域を中心とした日本のハブとなるスタートアップ支援のエコシステムの構想をしている
- 起業家育成に関して
- 「自分の意志で動いているのか、誰かに言われて動いているのか」という観点が重要
- 親ブロックなどを回避できるような、カルチャーの創造が重要
- 地域のエコシステム
- 必ずしも東京である必要のない地域スタートアップについては、地域の特色を活かしたスタートアップの仕組みが重要
Talk Session 1: グローバルとローカルの視点で考えるこれからのスタートアップ支援
- Global はなぜ大事か?
- グローバルが当たり前
- 日本市場だけ見ていると太刀行かなくなる未来がやってくる
- 日本のマーケットの特徴
- マーケットが中途半端に大きすぎる→グローバルマインドのギャップが生じているのが一番大きな問題
- 日本は言語の壁を乗り越えることができれば、それ以外の複雑さはそこまでない
- 競合が出て、突然解約したりが少ないため、ゆっくり確実に成長し続けていける
- グローバルで成功できるようなHowは?
- 人が行動を変える
- Inspiration、発想をもつ
- リアリティをもった本物のhow-to必要(経験に基づいていないhow-toは役に立たない)
- プレイヤーの役割
- やらないとわからないのが実際の世界なので、正しい失敗を許容するような文化が重要
- 人が行動を変える
- 一個人としてできることは?
- 自分、チームとしてグローバルマインドを持つ
- スモールスタートをどうやってするかという、イテレーションのループを継続する
- グローバルな若手がいたら、信じて権限を与えてあげる
Talk Session 2: スタートアップエコシステムの次なる展望
- スタートアップエコシステムの現在地
- オープンイノベーションに特化したプラットフォームがある
- スタートアップマインドの人や組織が増えている、投資も増えている
- スタートアップの成功には
- 情報は武器、情報をとっていくことが大事
- 最初からグローバルで捉える
- 情報を持っている大企業と共創する
- 日本が成功していくには
- 日本人には、Win-Winの思考・改善スピード・完璧主義などの良い要因があるので、多様性の融合によりこうした既存の価値に気づけるようにする
- 大企業の強みをスタートアップにも還元していけるよう、大企業が投資をしていく
Day2
Round Table 1: 脱炭素時代に向けて次世代エネルギー関連技術への投資におけるVC及びCVCの考え方
- CVCにおける取り組み
- オープンイノベーションによる他者との協業が不可欠
- 最低限のリスクは見ながら、スタートアップの動きに合わせていけるような体制が重要
- ムーンショットに対してどうお金を張るか
- 技術は評価できないという前提で考えており、技術ではなく起業家を見て投資している
- 財務的なリターンと戦略的なリターンをどうバランスをとっているか
- 財務的なリターンなしでは経営層は認めない
- 資本コストはカバーしていく
- 既存事業部門に投資を付け加えていくようなやり方をする
- 世の中に対するインパクトを拡大するような戦略的リターンを模索する
Talk Session 1: CVCの進化とイノベーションエコシステムへの貢献
- CVCを立ち上げて変わったこと
- 技術面だけの話ではなく、事業全体で話ができるようになり、企業との関係の深さが変わった
- 3段階で軸が変わってきた
- 1: シナジー重視で事業の種になるところを模索
- 2: オープンイノベーション起点
- 3: シナジーがないところとのつながりにも投資→シナジーがない企業でも、長期的にシナジーが生まれて協業するパターンが多くあった
Round Table 2: UCCホールディングスが考える「新規事業のあるべき姿」
- 新規事業をどういう位置付けで取り組んでいるか
- 3つの目的:収益性、コーヒー市場を豊かにする、UCCのブランドを高める
- 収益性をどこまで求めるのか
- 収益性は追い求めるべき
- 将来の収益をきちんと見える化することが重要
- チームを一つにまとめ上げる工夫
- 小さな成功体験を積み上げてアピールしていく
- 色んな部署を巻き込む際の工夫
- 経営陣がいかにコミットできるか
- 横連携をすることの評価リターンが基本的にはないという本質的な点もあるから
- 評価の体系をいかに柔軟にとっていくか
- 通年ではなく3ヶ月に1回にしている
- 売上や利益以外の評価項目を多数設定している
- 経営陣がいかにコミットできるか
Talk Session 2: 生成AIはどう社会に変化をもたらすのか
- Generative AI のもたらすインパクトとは
- 自然言語、画像、音声などの多様なアプローチを通して、人類、社会、業界のあらゆる領域にインパクトがある
- 非構造データを扱えるようになったことで、より人間が扱いやすくなった
- 何から始めれば良いか
- まずは公開されているAPIを使ってみたり、モデルをダウンロードして動かしてみたり
- GAIを活用したアプリケーションを開発するにあたって、どうやって差別化するか
- まずはスピード勝負
- 特殊やデータやIPと連携してビジネスに結びつけることでユニーク性を出せる
- GAI利用における課題
- データに関するプライバシーの課題
- GAIができることと、人にしかできないことをどのように区別して、活用していけるか
- 人々のリスキリングが必要
- AIの民主化について
- コスト、レスポンスタイム、精度のバランスをいかにとっていくか
- 新しいモデルの方が安くて早いこともよくある
- ユースケースに合わせて最適なモデルを組んでいくことが重要
- より安定したモデルの構築が重要
- コスト、レスポンスタイム、精度のバランスをいかにとっていくか
最後に
2日間ほとんど休みなく参加しましたが、グローバル、スタートアップエコシステムという2つのトピックを中心として、本当に様々な議論が繰り広げられており、活気に溢れた非常に有意義なイベントでした。グローバル前提の思考や、オープンイノベーションによる大企業との共創、そしてAIを中心とした新しい技術にどのように向き合っていくべきか、色々な視点で大変勉強になり、また色々なインスピレーションを得ることができました。
まだまだスタートアップのVoicePingですが、こうしたスタートアップのエコシステムを最大限活用しながら、最先端のAIテクノロジーを駆使して、新しい価値を創造していきたいと思っています。
現在、VoicePingではAIエンジニア・Web開発エンジニアを募集しています。最先端の言語モデルを扱いたい方、高性能音声認識や翻訳モデルを作りたい方、複雑でハイパフォーマンスなWeb開発アプリケーションの設計・開発・運用をしたい方は、お気軽にご相談ください。