論文の要約は大量の情報の中からどの要素をピックアップすれば良いか悩みますよね。また、長時間労力を投じてもなかなか要約がまとまらないと感じている方や効率的なツールを探し求めている方もいるでしょう。
当記事では、AI技術の進歩と共に論文要約に新たな可能性を提供するツール「ChatGPT」について解説します。また、ChatGPTの活用方法と精度を高めるテンプレートをご紹介するので、論文要約の効率化と品質向上のためにも、ぜひご覧ください。
ChatGPT を論文要約に活用するメリット
人間が論文を要約する際の一般的な過程は下記の通りです。
・読む
・要点を押さえる
・重要な部分にマーカーや付箋を貼る
・要らない要素は削る
上記の作業は専門知識が必要でその分野に精通していなければならないという労力がかかります。ChatGPTを使うと要約過程のほとんどを自動化でき作業時間の短縮が図れます。大量のテキストを素早く解析し、整理して構造化した要約を提供できるためです。
人間が論文を要約すると読者の理解度や視点によって改変されることがありますが、ChatGPTは一貫性のある要約を提供し主観的な解釈のバリエーションを最小限に抑えます。ChatGPTは短時間で論文の要約ができ、一貫性を保ちながら論文を処理することが可能なのです。
ChatGPTで要約できる文章とやり方
ChatGPTが要約できる文章は以下の4つです。
・プラグイン
・Slack
・メール
PDF形式の論文を要約する場合、テキスト抽出ツールを用いてPDFの内容をテキスト形式に変換します。その後、抽出したテキストをChatGPTに入力し「このテキストを要約してください」と指示すれば情報を解析して重点をまとめた内容を提供してくれるのです。
ウェブブラウザ上の記事やブログを要約する際には、ChatGPTのプラグインを活用します。プラグインを使用することでブラウザ上のテキスト情報を直接ChatGPTに渡し要約を生成させることが可能です。
Slack上のメッセージもChatGPTで要約する際にも活用できます。SlackのメッセージをコピーしてChatGPTにペーストした後「メッセージを要約してください」と指示を出すことで、メッセージの要約を生成ができるのです。
電子メールの長文もChatGPTによって要約が可能です。メールの本文をChatGPTにコピーペーストし「メールを要約してください」と指示すると、メールの内容を短縮し要点を抽出した成果物を獲得できます。
以上のように、ChatGPTはさまざまな文書形式の要約作成に長けているので複雑な文章や情報を簡潔にまとめ、効率的に処理するサポートができるのです。
精度の高い論文要約にはプロンプトが重要
ChatGPTを用いた論文要約の精度を高めるには、プロンプトの設定が重要なポイントとなります。プロンプトとは、ChatGPTに対して指示する命令文のことを指します。
プロンプトが抽象的であるとChatGPTは広範な解釈をして意図しない成果物ができる可能性があり、作成された要約が必要な情報を十分に含んでいなかったり、余計な情報が混じっていたりするため再度質問をして作り直す必要が出てくるのです。
効率的な論文要約のためには、具体的で明確なプロンプトの設定が必要となります。次の章では、精度の高い論文要約を作成するためのプロンプトのテンプレートを記載しますので、ぜひ参考にして質の高い要約を作成しましょう。
効率的なChatGPT論文要約のテンプレート
ChatGPTで論文要約を効率的にするための具体的なテンプレートをご紹介します。
「要約してください」と冒頭に入力
論文を要約する際、ChatGPTに対する指示として最もシンプルな方法は「要約してください」というプロンプトを冒頭に入力することですが、ChatGPTに広範な解釈を許してしまうので出力される要約があいまいになる場合があります。
丁寧な要約を得るためにも、プロンプトの具体的かつ明確な設定が必要です。例えば「この論文の主要な結論を一文でまとめてください」や「この研究の最も重要な発見を3つ挙げてください」といった具体的な要求をAIに伝えることで望む要約の生成が図れます。
要約したい文章やリンクを貼り付ける
論文要約を行う際の重要な要素の1つに要約したい文章やリンクをChatGPTに提供することがあげられます。ChatGPTが必要な情報にアクセスし、その内容を理解するためにも大切な工程です。工程としては直接文章を貼り付ける方法と、オンラインで利用可能な論文のURLを提供する方法があります。
直接文章を貼り付ける方法は、テキスト形式で論文を持っている場合や特定の節や段落だけを要約したいときに便利です。URLを提供する方法はWeb上に公開されている論文全体を要約する際に有効となります。
しかし、ChatGPTがウェブページの情報を適切に解析できるかどうかはWebページの構造に大きく依存するので注意が必要です。
文字数を指定する
ChatGPTに出力する要約の文字数を指定することも有効な手段の一つです。要約の文字数を制限することで、冗長な表現になるのを防ぎ的確な成果物を生成できます。
例えば「この論文を200語で要約してください」や「この研究の主要な結論を50語でまとめてください」といったプロンプトの文字数指定です。文字数を指定することにより、ChatGPTは求めている文章量の成果物を作成できます。
しかし、文字数を厳密に制限すると重要な情報が省略される可能性もあるので、目指す要約の質と情報を適切に伝えるために文字数とのバランスを考慮することも重要です。
強調したい箇所を指定する
論文をChatGPTで要約する際、特定の部分を強調したい場合には強調したい箇所を指定して指示を出します。
選択後「この論文の実験手法と結果を強調して要約してください」や「この研究の論文内での新規性を強調した要約を作成してください」といったプロンプトに強調したい部分を明示します。これにより、ChatGPTは指定したテーマにフォーカスした要約を生成できるのです。
この指示は特定の観点から論文を検討したい時や特定の情報を他の人に伝えたい時に便利ですが、重要な情報が省略される可能性もあるため、要約全体として必要な情報が含まれているかを確認することが必須となります。
論文を読んでもらう読者を指定する
特定の読者を対象にした要約を作成することも一つの有効な手段です。論文を読む読者は専門家から一般の人々まで幅広く、それぞれが必要とする情報の深さや範囲は大きく異なります。
具体的には「論文を一般の人々が理解できるように要約してください」や「研究した内容を他の研究者に説明するための要約を作成してください」といったプロンプトに読者を指定します。読者設定をすることで、ChatGPTは指定した読者の知識レベルや関心に適した要約を提供してくれるのです。
一般の人々を対象にした要約では専門用語の説明や背景情報の追加が必要になるかもしれません。一方、専門家向けの要約では詳細なデータ解析や論文内の新規性に焦点を当てることが重要となります。読者を指定することで、よりターゲットに合った有用な要約の作成が可能となるのです。
口調を指定する
要約の口調を指定することも効果的な手法の一つとなりますが、ChatGPT は文章の口調をフォーマルなものからカジュアルなものまで、さまざまなシーンやニーズに対応できます。
「論文をフォーマルなトーンで要約してください」や「研究した内容をカジュアルな言葉で説明するような要約を作成してください」といったプロンプトに口調を指定すれば、ChatGPTは指定されたトーンに合わせて要約の生成が図れるのです。
学術的な報告や公式の文書に使用する要約では、フォーマルなトーンが適しています。一方、ブログ投稿や一般的な説明文では、カジュアルな口調が読み手にとって理解しやすいです。口調を指定することで目的や読者に応じた適切なトーンの要約の作成につながります。
ChatGPTの注意点4つ
ChatGPTを使用して論文を要約する際には、いくつかの注意点を把握しておくことが重要です。下記では、具体的な使用上のポイントを4つご紹介します。ポイントを理解して適切に活用すれば質の高い論文要約の生成ができますので、ぜひ参考にしてみてください。
誤った情報の可能性がある
ChatGPTの使用の際、1つ目の重要な注意点として「誤った情報の可能性」があります。ChatGPTに搭載されているAIは2021年までのデータに基づき学習されているので、最新情報については正確性に欠ける点がデメリットです。
また、固有の人物名や特定の専門用語に関する知識も必ずしも完全とは言えません。ChatGPTは学習データに基づいて判断を行うため、知識はデータに含まれる情報に制限されます。
上記のことから、ChatGPTを用いて論文を要約する際には人間による目視チェックが必要です。要約が生成された後も内容が正確であることを確認するためには、自身でレビューをおこなうことが重要であり、誤った情報を伝えるリスクを最小限に抑えることにもつながります。
文脈が失われる可能性がある
2つ目の注意点として「文脈が失われる可能性がある」ことがあげられます。要約は本質的に文章を短縮するプロセスであり、文章を短縮する過程で元の文脈が失われる懸念があるのです。
論文のような複雑で詳細な文章では、全体の論旨や細部の情報を完全網羅するのが難しい場合があるので内容の正確さに欠け読者に誤解を与える可能性もあります。
読者への誤解を与えないためには、ChatGPTによって生成された要約が元の文章の意味と目的を正確に反映していることを確認することが必要です。完成された成果物で修正が必要であれば手動で対応することで、文脈の正確性を獲得できます。
誤解を生じる可能性がある
留意すべき3つ目の注意点として「誤解を生じる可能性がある」ことを挙げます。要約は情報を簡略化するプロセスであり、詳細の省略や主要なポイントの不十分な表現によっては誤解を招くことがあるのです。
例えば、特定の研究結果の重要性が過大評価されたり、逆に過小評価されたりすることがあります。要約が曖昧だと読者は自身の解釈に頼ることになり、元の論文のメッセージと大きく乖離したものになる可能性が出てくるのです。
原文との乖離を防ぐためには、要約を明確にして曖昧さを避けることが求められます。主要なポイントは明瞭に文脈に沿って伝えるように心掛け読者が誤解しないように努めていきましょう。
文字数制限がある
ChatGPT には「文字数制限がある」ので長い多くの論文要約の場合、長い文章を扱うケースが多いため不便に感じてしまうでしょう。
生成する文章の量が多いとChatGPTは途中で止まってしまうことがありますが「Continue」ボタンをクリックするか「続けて」と指示することで解決できます。ChatGPTは前回の成果物をもとに続きを生成してくれるので心配ありません。
次にGPT-3.5 Turbo(無料版)では生成できる最大文字数に制限があります。一方で、有料版のGPT-4ではより多くの文字数を一度に生成できるため大規模な要約をおこなう場合にはこちらが適しています。
以上の制約を理解しておくことで、ChatGPTをより効果的に使用し最適な論文要約を得ることができるのです。
ChatGPTでWeb会議の要約ができる「VoicePing」
VoicePingは、ChatGPTの要約機能を搭載したツールで論文要約だけでなく、便利な機能が多く搭載されています。例えば、従業員同士がオンライン上でコミュニケーションが取れるバーチャルオフィスとして活用できたり、会議の会話内容を自動でテキストに起こし要約したりなどが可能です。
ChatGPTの要約機能は、複雑な論文の主要なポイントを見つけ出して整理し、わかりやすく要約することに優れていますが「VoicePing」によって大量の情報を処理する時間を大幅に節約することにもつながります。
また、45か国語に対応しているため日本語以外の論文要約にも対応できるので、言語の壁を気にする必要はありません。
VoicePingの音声翻訳ツールには、以下の特長があります。
- 高精度&リアルタイム文字起こし
- リアルタイム翻訳
- 日本語・英語・中国語・ベトナム・インドネシア語を含む41か国語に対応
- 会議・商談内容の文字起こし
- ChatGPTを活用した文字起こしデータの要約
- アプリ内にWeb会議システムが搭載されている
VoicePingの料金プランは、以下のとおりです。
ChatGPTを活用して論文要約の効率化をしよう!
当記事では、OpenAIの大規模な言語モデルChatGPTを活用して論文要約の効率化を図る方法についてご紹介してきました。具体的な使用方法から最適なテンプレートの作成方法、ChatGPTを使う際の注意点まで把握しておくことで、精度の高い論文要約が生成できます。
ChatGPTは人間が論文を要約する際の時間と労力を大幅に削減し、効率的に情報を処理・整理することが可能な一方で、適切なプロンプトの設定や文字数制限への理解が必要です。
ツールの使い方や論文の要約プロセスの理解を深め、ChatGPTを上手く活用して論文要約の効率化を図っていきましょう。