働き方改革における「多様で柔軟な働き方」のひとつとして注目されているテレワーク。
新型コロナウイルス感染拡大時にはテレワークを導入する企業が急激に増加したものの、同時にデメリットも浮き彫りになりました。
結果、緊急事態宣言や重点措置の解除後は「原則出社」に戻ってしまった企業も少なくありません。
本来、テレワークは一時的な感染症対策としてではなく、生産性の向上やワークライフバランスの実現のために進められていたもので、活用方法によってはむしろ大きな費用対効果を出せるものです。
テレワークでは、従来のオフィスベースの働き方が通用しなくなる場面が多くあります。しかし、それらのデメリットを克服すると従業員だけでなく経営陣にも都合の良い働き方を実現できるケースも多くあるのです。
この記事では、テレワーク実践者が感じているデメリットと対策を解説します。
テレワークの導入や継続を諦める前に、ぜひ一読してみてください。
テレワークの実施状況
帝国データバンクが2022年2月に実施したアンケートでは、有効回答企業1,837社のうち、テレワークを実施している企業は31.5%でした。
そのうち過半数の16.4%が、「テレワークにはデメリットの方が多い」と回答しています。
出所:帝国データバンク「企業がテレワークで感じたメリット・デメリットに関するアンケート
アンケート回答者が挙げたメリット・デメリットからは、テレワークを行う目的や課題点のヒントを読み取ることができます。
メリットには、「時間の有効活用」「ワークライフバランス」など、従業員満足度にかかわるものが挙げられています。「感染防止」も社員の安全を守るためには重要な措置です。テレワークをやめることで在宅勤務がもたらす幸福度や安心感を奪っては、社員から反感を買ってしまうのは言うまでもありません。
一方、デメリットの方には、「社内での意思疎通」「進捗の把握」「対応遅延」「顧客対応」など、コミュニケーション手段とスピードに問題があることが表れています。
つまり、コミュニケーションコストを下げスピーディな意思疎通を可能にすることが、テレワーク成功のための一つの鍵となっていると言えるでしょう。
テレワーク経験者が感じるデメリット
実際にテレワーカーが感じているデメリットを具体的に見てみましょう。
1. コミュニケーションの不足
テレワークでは、チームメンバーが近くにいない=直接話しかけることができないため、コミュニケーションの機会が不足しがちです。
相手が忙しいかどうかがわからないため電話はかけづらく、連絡を取るのを躊躇してしまうこともあります。
メールやチャットで連絡することができるものの、テキストメッセージでは言葉がきつく感じられたり、ニュアンスを測りかねたりして、行き違いが起こることも珍しくありません。また、送る側も誤解が生まれないよう気をつけて言葉を選んでいると時間がかかってしまいます。
仕事に直結する話以外にも、オフィスで自然発生的に生まれる「雑談」の機会が減少することも大きなデメリットです。
リアルでは当たり前に雑談している相手でも、オンラインでは必要最低限の仕事の話で終わってしまうことが多いです。
雑談ができないことは、オフィスのメンバーとテレワークのメンバー間で情報格差が生まれたり、ストレスを発散できず一人で抱え混んでしまったりする原因にもなります。
2. 生産性意識の低下
オフィスでは、チームメンバーと共に働いている一体感や、お互いの姿が見えている緊張感が、知らず知らずのうちにチームの士気を上げてくれています。
ところが、テレワークでは人目がなく、気が緩みがちになり、オフィスにいるときのような生産性を発揮できないことがあります。
また、一人で仕事をしていると、孤独感や不安を募らせてしまうこともあります。
オフィスでは当たり前の「周りに誰かがいて、何かあったらすぐに聞ける安心感」が意外と重要であったことに気づくはずです。
3. 共同作業の難しさ
テレワークでは、ホワイトボードを使ったり、資料を見せあったりしながら、リアルタイムで共同作業をすることが難しく、個人作業が多くなる傾向があります。チームメンバーで協力して行うプロジェクトをテレワークで行う場合には、共同作業の問題を解決しない限り、リアルオフィス並みの生産性を維持することは難しいでしょう。
4. マネジメントが困難
オフィスで顔を合わせていれば、社員の勤務状況や業務の進捗は容易に把握できます。
ところが、テレワークでは社員の働く姿が見えず、コミュニケーションの機会も限られているため、メンバー同士でお互いの進捗がわからなかったり、適切なタイミングでの声かけができなかったりして、チーム全体の生産性が低下してしまうことがあります。
また、トラブルが起きていても上司が気づくことができず、対応が遅れて重大な問題に発展するといったリスクにもあります。
5. サボり・働きすぎ
環境にもよりますが、一般的にテレワークでは、オン・オフの切り替えが難しくなります。
普段仕事以外に、趣味活動を行うプライベートの空間で仕事をしていて、人目がなければついサボってしまうのは仕方のないことかもしれません。
しかし、サボりよりも深刻な問題が、サービス残業や長時間労働です。
自宅でいつでも仕事できる状態でいると、ついつい時間外にもメールに対応してしまったり、仕事が終わらずに定時後や休日に仕事をするなど、隠れ残業が発生しやすくなります。
6. 人事評価上の課題
人事評価の基準は、仕事の成果だけではなくプロセスも重視されるものです。
ところがテレワーク環境では、プロセスの部分が見えにくくなっているため、場合によっては、適正な評価ができなくなってしまうという問題があります。
テレワークを導入するなら、勤務形態に適した評価基準を定める必要があります。
テレワークのメリットとは
これからの時代、テレワークで多様な働き方を認めることは、従業員だけではなく経営陣にとっても大きなメリットがあります。
1. 優秀な人材の確保
テレワーク制度が整っている企業では、採用時に居住地や通勤時間の制約がなくなるため、場所と関係なく優秀な人材を選ぶことができます。
オフィスへの出社がなければ時差出勤や時短勤務にも対応しやすくなるので、育児や介護との両立でフルタイム勤務が難しい人材の雇用にも繋がります。
2. 固定費の削減
在宅勤務の割合を増やし、同時にオフィスに出社する人が少なくなると社員全員が入れる広いオフィスは不要です。
出社規模に合わせて小規模のオフィスに移転したり、フリーアドレスにして設備や什器を縮小したりすれば、固定費を削減することができます。
3. 労働意欲や従業員満足度が向上
テレワークを行えば、通勤時間が不要になります。
片道1時間の通勤を行っていたとすると、1カ月で40時間もの節約です。
「時間を有効活用できるようになった」「家族と過ごす時間が増えた」など、QOLの向上は仕事の質にも結び付くことでしょう。
また、満員電車での通勤がなくなれば、良いコンディションで始業時間を迎えることもできます。
4. 生活の変化による離職防止
例えば女性の場合、これまでは結婚・出産・配偶者の転勤などをきっかけに自分のキャリアを諦めなければならないケースが多くありました。
しかし、テレワークを導入すると、居住地が変わったり、オフィスへの通勤が困難になったりした場合にも、自宅で仕事を続ける選択ができるようになります。
経験を積んだ社員がライフイベントの変化を理由に退職する必要がなくなれば、より長期的な視点での人材育成が可能になるでしょう。
5. 災害時・非常時のリスクヘッジ
地震・台風など自然災害の多い日本では、非常時の事業継続性を常に考えておかねばなりません。
災害や天候によって会社への出勤が困難になっても、テレワーク環境が整っていれば事業を継続することができます。
オフィス外でも仕事を行える体制を整えておけば、非常時のリスクヘッジになります。
テレワーク成功のための業務改善案
オフィスでの働き方に慣れたワーカーにとっては、「対面で当たり前にできていたことがテレワークではできない」ということがストレスになりがちです。
残念ながら、テレワークで対面と全く同じ環境を作ることは現在できていません。
しかし、ITツールを導入したり、業務の進め方を見直したりすることで、対面時の品質に近づけることは可能です。
これらの業務改善の中には、テレワーク対応に限らず、業務の効率化につながるものもあります。
コミュニケーションツールを導入
テレワーク時にコミュニケーションが不足する最大の原因は、コミュニケーションコストの高さであると言ってよいでしょう。
電話は相手の仕事の手を止めさせてしまうかもしれないため、かけづらい雰囲気があります。
けれども、メールではスピード感に欠けますし、複数人でのリアルタイムな議論に向かないというデメリットがあります。
「簡単な操作ですぐに会話できる仕組み」があれば、コミュニケーションのハードルがさがり、テレワークメンバーの距離がぐっと縮まるはずです。
勤怠・作業内容を記録管理
テレワークでのマネジメントを成功させるためには、社員の勤怠や作業時間の可視化が必要です。
クラウドのタイムカードシステムを導入すれば、どこで仕事をしていてもパソコンで打刻することができます。
また、タスク管理ツールで進捗を管理したり、作業にかかった時間をトラッキングすることで、顔を合わせていなくても実際の作業状況が見えてくるでしょう。
社員の状況を可視化する
「チームメンバーが今何をしているのかわからない」という状況がコミュニケーションの取りづらさの原因です。
今すぐ話したくて電話をかけたりチャットを送ったりしても、相手が離席していればすぐに連絡を取ることができません。確実に相手が応答できるタイミングを狙って連絡すれば、時間を無駄にすることはなくなりますね。
相手が今何をしているのか・話しかけてもいい状態なのかどうかがお互いにわかるようになれば、コミュニケーションのハードルを大幅に下げることができます。
ハイブリッド体制を取る
テレワークは社員の満足度を上げてくれていますが、ずっとテレワークばかりでは孤独感を感じたり、チームメンバーと疎遠になってしまったりといった不安も出てきます。
テレワークと出社を組み合わせたハイブリッド体制にすることで、メリハリのある働き方ができるようになるでしょう。
テレワークのデメリット解決には仮想オフィスが最適
テレワーク実施企業におすすめのツールが仮想オフィスです。
仮想オフィスとは、メタバース上の仮想空間にオフィスを設置して、社員がオンライン出社するシステムです。
仮想オフィスは、リアルオフィスの一体感や気軽なコミュニケーションの実現を目指したもの。
テレワークでオフィスの環境を完全に再現することはできませんが、仮想空間で一緒に働けば、リアルオフィスに近い感覚を得ることができます。
テレワークにおすすめの仮想オフィス3選
テレワークを実施する企業の生産性を上げるおすすめの仮想オフィスツールを紹介します。
1.常駐性の高い VoicePing
VoicePingは、自由な声かけを促進するメインフロアと、チームミーティングに最適な会議室を備えた仮想オフィスツールです。
仮想オフィスにオンライン出社すれば、テレワークと出社組の垣根なく気軽に話しかけられる環境で、リアルに劣らない現場感を味わうことができます。
さらに、テレワークやハイブリッドワークの生産性を向上させるツールが充実しているのがVoicePingならではの強みです。
- メインフロアでの声かけはワンクリック。遠くのメンバーもワンクリックで近くに呼べる
- オンラインステータスや使用中のアプリを表示。話しかけていいかすぐにわかる
- 会議室は共同作業に最適。クラウド録画・文字起こし・多言語翻訳にも対応
- 複数部署を配置できるから、オフィスをそのまま再現することも可能
- タイムトラッキング機能で勤務時間や作業時間を記録
社員同士のコミュニケーション強化だけではなく、進捗管理や勤怠管理もVoicePing上で完結。
ハイブリッドワークのマネジメントにも最適です。
2.メンバーの顔が見えるRemotty
Remottyは、オフィスで感じることのできる「人の存在感」をメタバース空間で再現したツール。
テレワークの孤独感を解消し、チームメンバーの一体感を高める機能が充実しています。
- パソコンのカメラで定期的に写真を自動撮影して共有。相手の状況が一目でわかる
- すぐに話せるテレビ通話や、公開範囲を細かく選べるチャットなど、目的に合わせたコミュニケーション手段
- 雑談が自然に流れてくるタイムライン
- Googleカレンダー、Office365、iCalendar等と連携し、予定を確認
Remottyを使えば、離れたところにいるチームメンバーを身近に感じることができるはずです。
3. 豊富なレイアウトでオフィスを再現Sococo
Sococoは、シンプルなデザインで直感的に操作できる仮想オフィスツール。
数人~100人規模の大人数まで、収容人数に合わせてレイアウトが選べます。
Sococoの特徴は、レイアウト上の部屋が独立した空間になっていること。
実際にオフィスに出社してフロアを歩き回るような感覚で、自分の業務の状況に合わせてオフィスの部屋を移動できること。
- 話しかけていい部屋を決めておくことで、作業を邪魔されない
- 部屋に入ると会話が成立。同じ部屋内の人の声が聞こえる
- 急ぎの連絡は「ノック」してから入室
例えば、
「集中作業室」や「電話室」にいる人には話しかけない。
業務の相談は「コワーキングスペース」、雑談は「休憩エリア」という風に使い分けます。
仮想オフィスで一体感を感じつつ、集中したいときには周りと距離を置くこともできる「ちょうどよい距離感」がSococoの魅力です。
まとめ
社員が同じ場所に集まって働くことで生まれるコミュニケーションや現場の一体感は、生産性向上のためには必要不可欠なものです。
ただし、それらは必ずしもリアルの空間でしか得られないものばかりではありません。
仮想オフィスツールといった適切なツールをうまく活用すれば、仮想空間上でも、一体感・連帯感が生まれ、テレワークであっても、リアルオフィス以上の生産性を実現できる場合もあります。
テレワーク体制で悩んでいる方は、一度仮想オフィスへのオンライン出社で得られるメリットを体験してはいかがでしょうか。