Discordは月間アクティブユーザー数が日本の人口を超えるほどの人気ツールです。元々ゲームのコミュニケーションツールとして開発されましたが、ビジネスチャットとして利用する方もいます。
しかし、Discordをビジネスの場面で使用するには限界があります。デメリットを補うには他の有料ツールと併用することが多く、もったいないと思う方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、Discordのメリット、デメリットを解説し、Discordをビジネスでコスパ良く使う方法に迫ります。Discordのデメリットを克服する術を知り、会社の生産性を上げましょう。
Discordとは
Discordは2015年にリリースされた、テキスト&ボイスチャットツールです。
ゲーム・コミュニティ用として多く利用され、その利便性からコミュニケーションツールとして採用している企業もあります。
無料で使用できる点や高品質なボイスチャットが魅力のDiscordですが、社内のコミュニケーションツールとしては様々な限界が。
Discordの良い面、悪い面を理解し、どうすればビジネスの場面でもうまく活用できるか考えていきます。
Discordのメリット
- テキストと音声間の移動がスムーズ
- 基本無料で登録もメールアドレスだけ
- 通話音質が良い
- 動作が軽い
と、大きく4つにまとめられます。
1. テキストと音声間の移動がスムーズ
Discordの一番の魅力は、テキストと音声間の移動がスムーズだということです。Discordで作成できるチャンネルは2つあります。
- TEXT CHANNELS(メッセージ)
- VOICE CHANNELS(音声通話)
音声通話をするには、ボイスチャンネルの中から通話したい相手がいるチャンネルをクリックするだけです。
例えば、「いつでも話しかけOK」という名前のボイスチャンネルを作っておけば、メッセージでわからないことがあった時、すぐに音声通話が可能です。
音声通話中のUIは左下に小さく表示されるのみで、音声通話しながら画面共有したり、テキストチャンネルでファイルを添付しながら業務を進められます。
2. 基本無料で登録もメールアドレスだけ
Discordは登録が簡単、かつ無料でほとんどの機能が使えることも魅力の1つです。登録に必要なものは、
- メールアドレス
- ユーザー名
- パスワード
- 生年月日
の4つのみで、電話番号は必要ありません。
また、無料でもビジネスチャットツールとして以下の基本的な機能をまかなえます。
- テキストチャット
- 音声通話
- 画面共有
- ファイル添付(無料だと一度に8MBが上限)
- ビデオ通話(同時接続は10人まで)
登録が簡単で、無料で多くの機能を使用できることがDiscordを使うハードルを下げています。
3. 通話音質が良い
Discordは通話音質の良さでとても有名です。
Discordは昔の不安定で低速なコミュニケーションツールにストレスを感じたことが開発背景となっていて、
- 遅延が少ない
- ノイズ抑制可能
- 個別音量調節可能
という特徴を持ちます。
もし、ボイスチャットで自分が話してから相手が反応するまでに間が空くと不安になりますし、ストレスを感じる人もいます。
Discordでは遅延が少なく、あたかも隣で話しているかのようにスムーズな会話が可能です。
また、ノイズ抑制機能があるためお互いの雑音を消し、クリアな音声で話せます。
家の近くを通る自動車の音や物を落とした時の大きな音などを抑制する機能です。
さらに、個別音量調節が可能で、「この人の声小さいな」と感じたら、その人の音量だけ上げられます。
ただ無料プランだと途切れたりすることがあるようで、サーバーブーストという課金で解決可能です。
4. 動作が軽い
Discordのメリット4つ目は、動作が軽く、ずっと起動していても気にならないことです。
ゲーム用で利用されることも多いため、パソコンに負荷がかからないことは多くのユーザーに歓迎されています。
会社で使うことを考えると、Discordの気軽なボイスチャットを有効活用するには繋ぎっぱなしにしたいところです。
Discordは軽いため、常に起動したままでも、他アプリの挙動にストレスを感じることはありません。
Discordのデメリット
Discordは無料で多くの機能が使える半面、ビジネスなどの場面とで使うにはデメリットもあることが事実です。Discordのデメリットとしては、
- セキュリティの危険性
- 社外とのコンタクトには向いていない
- 録画・録音・文字起こしがない
- サポートに不安(一部英語)
- ビデオ通話の定員が少ない
- グローバル対応が不十分
の6つが挙げられます。それぞれ詳しく解説します。
1. セキュリティの危険性
Discordではセキュリティに注意する必要があります。
ノルウェーのウイルス対策ベンダーであるSnorre Fagerland氏によると、2022年1月〜2月にDiscordでウイルスファイルの拡散があったと報告しています。
Discordは2022年6月時点で、
- 月間アクティブユーザーが1億5千万人
- 1日のサーバーでの会話時間が40億分(約6667時間)
と全世界で使用されているツールです。
ユーザーが多い分、サイバー攻撃で狙われるリスクも高くなります。
Discordを企業で使用する際は、セキュリティに関して細心の注意を払わなければなりません。
2. 社外とのコンタクトには向いていない
Discordは社外の人と連携する際には不向きだと言えます。
なぜなら、「チャットツールとしてのシェアと30代以降のシェアが低い」からです。
2021年の株式会社MM総研の調査によると、最も利用する有料版のビジネスチャットの内85%は大手5社で残りは15%です。
15%の内、Discordが何%を占めているかわかりませんが、Discordが普及していないことは一目瞭然です。
株式会社クエストの調査によるとDiscordは10代、20代の利用が全体の65.8%で、30代以降の利用は合わせて34.2%でした。
30代以降の方は約3人に1人しか利用しておらず、さらにビジネスで使っている人の割合を考えると、社外の方と連携するには厳しい数字だと言えます。
3. 録画・録音・議事録機能がない
Discordには録画・録音・議事録機能がありません。
ボイスチャットをしたけど内容を思い出せない時、録音があれば便利です。
しかし、Discordにレコーディングの機能は標準搭載されておらず、サードパーティのツールを使う必要があります。
レコーディングは他のツールを使用するだけなので誰でもできますが、社員全員にインストールしてもらったり、マニュアルの作成が手間になります。
また、Discordはアメリカの企業のため、プラグインやサードパーティツールは英語のものが多いです。
レコーディングはできるようにはなりますが、ハードルが高いことは認知しておきましょう。
4. 日本語サポートが不十分
Discordはアメリカの企業であるため、日本語でのサポート体制が十分とは言えません。
Discordのヘルプセンターサイトでも「ご注意: この翻訳には最善が尽くされておりますが、英語版によるご案内が正式なものです。」と注意書きがあります。
ただ「十分」と言えないだけで、日本語サポートも対応しています。
2019年には日本向けのDiscordツイッターも開設され、リプライを送ると返信してくれます。
しかし、ボットやプラグインは英語のものが多いため、Discordを最大限活用したいとなれば英語と向き合わなければなりません。
5. ビデオ通話の定員が少ない
Discordのビデオ通話は10人までです。(2022年6月時点では一時的に25人に緩和)
ZoomやTeamsなどのWeb会議ツールは無料でも100人までビデオ通話できるため、物足りなさを感じてしまうかもしれません。
Discordはビデオ通話定員を増やす方法がないため、11人以上でビデオ通話するには他ツールを行き来する必要が出てきます。
6. グローバル対応が不十分
Discordに音声翻訳はないため、多言語でやり取りする企業には向いていません。
気軽なボイスチャットが最大の魅力であるDiscordですが、言葉の壁を超えることは難しいです。
テキストの即時翻訳ボットはありますが課金が必要で、音声翻訳には対応していません。
外国人メンバー同士でコミュニケーションが必要となる場合には、あまりアドバンテージがないのが事実です。
Discordのデメリットを解決する方法
ここでは、ビジネスの場面で生じるDiscordのデメリットを解決するための4つの方法を紹介します。
- 有料プランにする
- 他のチャットツールを使う
- Web会議ツールと併用する
- 仮想オフィスツールとの併用がコスパ最高
1. 有料プランにすれば音質が改善
Discordのデメリットを解決するには、有料プラン(Nitro)を契約する方法があります。
無料 | Nitro Classic | Nitro | |
料金 | $0 | 年額$49.99(6,804円) | 年額$99.99(13,609円) |
ファイルアップロードサイズ上限 | 8MB | 50MB | 100MB |
画面共有の画質 | 720p/30fps | 1080p/60fps | 4K/60fps |
メッセージ文字上限数 | 2000文字 | 2000文字 | 4000文字 |
サーバー参加数の上限 | 100 | 100 | 200 |
※日本円は2022年6月22日時点
有料プランにすることで
- ファイルアップロードサイズ上限の引き上げ
- 画面共有の画質の引き上げ
- メッセージ文字上限数の引き上げ
- サーバー参加数の上限の引き上げ
などが実施されます。
ファイルアップロードサイズに関しては、テキストファイルや画像、ちょっとした動画くらいなら無料プランの8MBで十分です。
画面共有の画質に関しても無料プランでも720p、メッセージ上限も2000文字あるので会社でチャットする程度なら無料プランのままで使えます。
ただ、通信の安定性を求めるなら課金は必須でNitroプランなら、2サーバーブーストが付きます。
Discordのサーバーブースト | |||
Level 1 | Lvel 2 | Level 3 | |
月額 | ¥1,278 | ¥4,473 | ¥8,946 |
サーバーブースト | 2 | 7 | 14 |
音声品質 | 128Kbps | 256Kbps | 384Kbps |
サーバーブーストが付くと、他にも様々あるのですが、音質が良くなるため、音声が途切れたり、音声接続できなくなることが減ります。
有料プラン(Nitro)を契約するのではなく、無料プランのままサーバーブーストだけに課金することも可能です。
他のチャットツールを使えば社外連携もスムーズ
社外との連携を考慮すると、他のチャットツールを使うことでDiscordのデメリットを解決できます。
シェアの高いSlackやTeamsを利用すれば、Discordを相手にインストールさせる手間や説明する時間が不要に。
ただ、Slackで社外と安全に連携するにはSlackコネクトが使える有料プランに課金する必要があります。
Slackの一番安いプロプランは年間契約で1人あたり¥850/月です。
Discordは無料で多くの機能が利用できるため、社外の人と連携するために他のツールの有料プランを契約するかはしっかり検討する必要があります。
Web会議ツールと併用すればレコーディング可能
Discordのビデオ通話定員の少なさや録画不可のデメリットを解決するなら、Web会議ツールとの併用がおすすめです。
Web会議ツールの多くは、ビデオ通話が無料プランでも100人まで同時接続可能ですし、レコーディング機能も標準搭載されています。
DiscordのデメリットをWeb会議ツールで補い、Web会議ツールの煩わしさをDiscordで補う作戦です。
しかし、Web会議ツールの弱点として、
- 毎回の会議室の作成
- URLの発行
- URLの共有
- 共有カレンダーへの予定の入力
など手間がかかることが挙げられます。
仮想オフィスツールとの併用がコスパ最高
Discordは仮想オフィスツールと併用するのが一番コスパがいいです。
仮想オフィスとは、
- オンライン上の2次元や3次元の仮想のオフィスに
- メンバーのアバターが表示され、
- アバターに近づくだけで声をかけられる
というツールです。
仮想オフィスのコスパが良い理由は、ビジネスで利用する多くの機能を備えながら、チャットツールやWeb会議ツールと比べて月額費が安いからです。
Discordは無料のままで仮想オフィスを併用する形で大丈夫です。
表で比べた仮想オフィスは、業界で一番安いツールを比べているわけではありません。
「安いから機能がイマイチなんじゃない?」と思われるかもしれませんが、
- 録音・録画
- 社外との連携(ゲストはアカウント不要のツールが多い)
- ビデオ通話
- 画面共有
などビジネスで使う頻度の多い機能は標準搭載されています。
また、テレワークで失われがちな「一緒に働いている感覚」を味わえることも魅力です。
仮想オフィス上で近づき、「おはよう」や「何か困ってることない?」など気軽に声をかけられます。
社外の人との連携も簡単で、ゲストはアカウント登録不要のツールも多いです。
仮想オフィスは自社に合わせたオフィスのカスタマイズができるものもあるため、かしこまったオフィスにならずに、遊び心や愛着も生まれます。
Discordのデメリットを克服できる仮想オフィス3選
Discordのデメリットを克服できる仮想オフィスを3つ紹介、解説します。
VoicePing
VoicePing(ボイスピング)は、メンバーの業務状況がわかり、生産性アップにつなげられる仮想オフィスです。
VoicePingには、「タイムトラッキング機能」があり
- どのメンバーが
- どのプロジェクトに
- どれだけの時間を使ったか
を記録してくれます。
「リモートワークでチームの稼働状況がうまく掴めない」という悩みを解消してくれる機能です。
稼働データはCSVとPDFファイルで出力できます。
また、「自動録画機能」があるため、会議の内容を撮り忘れることがありません。
録画ボタンを押す必要はなく、会議室に2人以上が参加すると自動録画、誰もいなくなると録画停止してくれます。
「良いアイデアがあったけど思い出せない」という事故を防げるんです。
さらに、VoicePingのリアルタイム音声翻訳と文字起こしは41か国語に対応しているため、言語が異なってもコミュニケーションの心配がいりません。
海外の優秀な人材にもアプローチできるため、採用の幅も広がります。
永久無料プランがあるため、気が済むまでお試ししてみてください。
VoicePingの機能をワンクリックでこちらからお試しいただけます
oVice
oVice | |||
プラン | Basic | Standard | Organization |
月額 | ¥5,000 | ¥20,000 | ¥50,000 |
無料トライアル | 14日間 | 14日間 | 14日間 |
初期費用 | ¥0 | ¥0 | ¥0 |
ユーザー数 | 50人(推奨10人) | 200人(推奨40人) | 500人(推奨160人) |
スペースサイズ | 1200×640px | 2400×1280px | 4800×2560px |
特徴 | 200個以上の空間デザイン・セキュリティも万全・連携も豊富 |
※税抜価格
oVice(オヴィス)はセキュリティが万全で、バーチャルオフィスのカスタマイズ性に富んだ仮想オフィスです。
oViceの公式サイトでは、セキュリティチェックシートが公開されており、事前にセキュリティ基準を満たしているか確認できます。
日本の企業であるため、サポートも手厚く安心です。
また、オフィスのバリエーションが豊富で、
- 20階建てのビル
- 季節に合わせて背景変更
- 和のテイストが強いオフィス
など自分たちだけのオフィスを作成できます。
リアルオフィスでできていた気軽な声かけがリモートワークでもでき、リアルオフィスでは不可能だった気軽なオフィスのカスタマイズができるのがoViceです。
LIVEWORK
LIVEWORK | |||
プラン | ライトプラン | スタンダードプラン | プレミアムプラン |
月額 | ¥2,500 | ¥5,000 | ¥10,000 |
無料トライアル | なし | 30日間 | なし |
初期費用 | ¥0 | ¥0 | ¥0 |
ユーザー数 | 10人 | 10人 | 10人 |
音声通話時間 | 1日1人12時間まで | 時間無制限 | 時間無制限 |
音声同時通話 | 1ルーム20人まで | 1ルーム50人まで | 1ルーム50人まで |
ビデオ通話時間 | 1日1人4時間まで | 1日1人6時間まで | 1日1人10時間まで |
ビデオ同時通話 | 1ルーム4人まで | 1ルーム10人まで | 1ルーム20人まで |
特徴 | 複数人でも画面の同時共有ができる |
※税抜価格(銀行振込の場合は手数料自己負担)、ユーザー追加購入10名ずつ
LIVEWORK(ライブワーク)は、メンバーの存在感を強く感じたい企業におすすめの仮想ツールです。
LIVEWORKでは、自動撮影された写真が一定間隔でメンバーと共有され、メンバーの存在を近くに感じられます。
他の仮想オフィスと同じように、ステータス(会話可能や取り込み中など)を個人で設定できる上、写真でも相手の状況がわかるため、声かけのハードルが低くなります。
また、複数人での同時画面共有もでき、1人ずつ画面共有を切り替えるという手間がありません。
もし、自分の姿が映ることに抵抗があるメンバーが多い場合には、カメラレスの運用も可能です。
Discordのデメリットを解消しましょう
Discordには6つデメリットがあり、4つの解決方法があります。
それぞれの企業ごとに抱えている悩みも異なり、一概に「この方法がいい!」と断言はできません。
コストパフォーマンスを考えると、仮想オフィスは最適で
- Discordのような気軽なボイスチャットを備えつつ
- ビデオ通話や画面共有、レコーディング機能があり
- リアルオフィスでできていた気軽なコミュニケーションができる
などDiscordのデメリットを補う方法の1つです。
永久無料プランのある仮想オフィスツールもあるため、まずはお試しで使ってみてください。