「売上を上げたい」「人材を育てたい」「業務を効率化したい」といった課題を抱えつつ、リソース不足で具体的な改善策が取れない……
そんな悩みを解決してくれるのがSFA(営業支援システム)です。
営業にかかわる業務を自動化し、データとして蓄積してくれるので、使い続ければ続けるほど、営業担当者の強い味方になってくれることでしょう。
最初のSFAツールの誕生は1990年代と言われていますが、現在では多様なツールが開発・運用されています。
この記事では、「SFAを導入したいけれど、何を基準に選べば良いかわからない」「目的に最適なツールを見つけたい」といった場合の選び方のポイントを紹介します。
目次
ToggleSFA(営業支援システム)とは
SFAは「Sales Force Automation」の略で、営業活動を見える化し、生産性を上げるためのツールのことを指しています。日本では「営業支援システム」と呼ばれています。
SFAでは、上司への報連相や個人の営業の記録の代わりに、営業活動をツール上に記録します。社内の営業マンの情報を一元管理することで、記録を残す目的だけではなく、蓄積されたデータを分析して今後の戦略に活かすことが可能となりました。
SFAをおすすめする理由(メリット)
SFAは、案件管理・顧客管理・日報・スケジュール管理など、営業活動に欠かせない機能をそろえたツールです。営業マンがExcelや各自の手帳などに管理していた情報を一元化することには多くのメリットがあり、個人のパフォーマンスを向上させるだけではなく、チーム全体の生産性向上にもつながります。
営業活動の可視化
これまでの営業活動は、営業マンの裁量に任されている部分が多くありました。そのため、「売上」という結果の部分しか見えておらず適切なマネジメントができなかったり、営業マンのスキルや知識の差を解消することができない状況で、チーム全体の売上を伸ばす効果的な戦略を打つことが困難でした。
商談の内容や案件の進捗をSFAに記録することで、営業プロセスの全体が可視化され、売上や成約に結び付いた成功例はもちろん、失敗例についても原因の分析と対策が容易になります。
スムーズな情報共有
日々の営業活動の報告は重要ですが、機械的な報告作業に時間を割くのは営業マンにとって非効率的です。
また、進行中の案件すべてについて、限られた時間で十分な説明をすることは困難です。上司とスケジュールを合わせて報告を行ったり、朝礼でチームに進捗を共有したりしている場合も、個々の案件については簡単な説明しかできないことが多いです。
報連相にSFAを活用すれば、営業マンは自分の空いた時間に案件の進捗を入力し、上司やチームメンバーも各自の都合の良いタイミングで必要な情報を見ることができます。一度入力しておけば、さらに上位の決裁者や他部署への伝達もスムーズに行うことができ同じことを、違う相手に何度も説明する必要はなくなります。
SFAはネットワーク環境があればどこにいてもリアルタイムでアクセスすることができるので、チームメンバーが出張中や在宅勤務でも情報伝達のハンデが発生しません。
ノウハウの蓄積・共有
ごく一部のトップセールスマンが全体の売上の大半を支えているというのはよくある話ですが、できる営業マンの手法を知る機会は少なく、成果を出せていない営業マンはずっと売上が上がらない状況が続いてしまうこともあります。
営業マン個々の能力に任せたままでは、メンバーの退職や異動により売上が激減してしまうことも起こりますね。
そこで必要なのが、営業ノウハウの共有です。営業プロセスをSFAに記録・共有することで、社員教育に活かすことができます。
ノウハウの蓄積は営業の標準化にも役立ちます。営業マンが代わっても、お客様にとってはその会社の窓口であることに変わりはありません。人によって言うことが違ったり、前に言ったことが伝わっていなければ信用をなくしてしまいます。
「誰が担当しても同じ対応ができる」のがお客様にとってのベスト。SFAに蓄積された情報を活用すれば、前任者が築き上げた顧客との関係性を壊すことなく、より良い営業活動につなげることができます。
事務処理の負担を軽減
毎日の日報作成や経費精算など、営業活動以外に発生する事務作業を負担に感じている営業マンも少なくありません。
SFAの日報や報告書作成メニューには、毎日の事務処理の負担を軽減すべく、項目選択や入力アシスト機能などの工夫が凝らされています。操作に慣れてしまえば1件あたりの入力時間を短縮でき、他の業務に時間を充てられるようになります。
また、これまでExcelで都度で行っていた業績資料の作成にはレポート機能が便利です。条件を変えて何度でも出力ができるので、定期報告用の資料作成も楽です。
SFAとCRMの違い
SFAと混同されやすいのがCRMというツールです。
CRMは「Customer Relationship Management」の略で、「顧客関係管理」と訳されます。
SFAとCRMは、どちらも顧客情報や対応履歴を登録する機能があり、一見、同じように見えるかもしれません。
SFAは営業支援、CRMは顧客との関係性向上と、そもそもの目的が全く異なっており、データの活用方法に大きな違いがあります。
ただし、それぞれのツールで収集・分析したデータは相互に活用ができるため、最近ではSFAとCRMが一体になったツールも多く見られ、境界はあいまいになっています。
営業部門の生産性アップに特化したツール「SFA」
SFAで管理するデータは営業活動に役立てるためのもの。顧客との折衝記録をデータベースとして資産化し、組織としての営業活動の効率化やレベルアップに活用します。
・メインユーザー
営業部門
・プロセス
商談~受注
・目的
営業支援/売上管理/行動管理
・主な機能
案件管理/顧客管理/レポート作成/予実管理 など
顧客と良好な関係を構築するためのツール「CRM」
CRMの顧客管理は、顧客満足度を向上させリピーター化・ロイヤルカスタマー化するためのものです。顧客の利用傾向や要望などを分析してマーケティング戦略に反映し、顧客生涯価値(LTV)を高めることで収益アップにつなげます。
・メインユーザー
マーケティング部門/カスタマーサービス部門
・プロセス
受注後の顧客対応
・目的
顧客データベース管理/プロモーション
・主な機能
顧客管理/キャンペーン管理/アンケート/メルマガ配信 など
SFAを選ぶときに注目したいポイントとは
複数のSFAツールを比較して、「違いがよくわからない」と感じることはないでしょうか。
SFAの基本機能である「案件管理」「顧客管理」などは、だいたいどのツールにも搭載されていて、どれも同じように見えてしまうこともあります。営業活動の管理さえできれば良く、高度な機能が必要ない場合は、決め手に欠けると感じることがあるかもしれません。
一方で、突出した高機能・多機能サービスも、ツール選びの障害となるものです。どれが本当に必要なのかわからずに余計なオプションを付けてしまったり、比較検討に時間をかけすぎて導入が進まなかったりしては本末転倒です。
SFAツールの比較で迷った・困った場合は、自社での利用シーンを想定して選ぶことをおすすめします。
SFAは、日常的に触る機会が増えれば増えるほど、データが蓄積されていきます。どんなに高性能なツールを導入しても、現場で使われなければ意味がありません。
その意味では、「導入を成功させる」ことよりも、「失敗しない」ことの方が大切といえます。とにかく使い続けてデータを蓄積することができれば、そこからさまざまな施策につなげることができるからです。
この章では、ツール選びに迷ったときに注目したいポイントを紹介します。
操作が簡単・短時間で入力できる
SFAは日々の営業活動の情報を蓄積して成長するもので、営業マンに情報を入力してもらわないことには始まりません。
ですが、売上を背負っている営業マンにとって、時間は貴重なもの。ツールへの入力に使う時間を営業活動に充てたいと思う方も少なくありません。
使い方が分かりづらかったり、入力内容が複雑すぎたりすると、いずれは使われなくなってしまうのが目に見えています。SFAの操作はシンプルで分かりやすいに越したことはありません。
また、空き時間でさっと入力できるよう、画面遷移が少ない・選択式である・中断して保存できるといった点もポイントになります。
親しみやすさ・サポート体制
SFAの発祥はアメリカで、日本とは異なる商習慣の中で発展したシステムであるため、日本人にとっては違和感や馴染みにくさを感じる面もあります。また、海外のツールの場合、トラブル時は現地のサポートに問い合わせなければならないことがありますが、担当窓口がわかりづらかったり、対応がそっけないと感じることも。
ユーザーへの定着に不安がある場合や、専任のシステム管理者がいない場合などは、日本企業での利用を想定して開発されたツールを選ぶのも良いでしょう。
国産ツールは日本の商習慣を前提とした機能や、サポート(電話、メール、訪問など)が充実している傾向があり、システムの導入に抵抗がある現場でも比較的使いやすいといえます。
他のツールとの連携機能
社内でグループウェアやコミュニケーションツールを使っている場合は、SFAと連携できるかどうかもポイントになります。
例えば、営業のアポが入った場合。通常は自分のスケジュールとSFAの案件管理の両方に入力しなければなりませんが、SFAにカレンダーとの連携機能があれば、案件を入れただけでカレンダーに同期することができ、同じ内容を何度も入力する手間が省けます。
外出先でのモバイル利用が多い営業マンには、顧客情報や案件情報が更新されたときに外部ツールに通知を送る機能も便利。いつも使っているメールやチャットツールで通知を受け取れるから、わざわざSFAを開かなくても更新内容だけを確認することができます。
スマホだけで使える
ほぼ1日中外出している営業マンは、パソコンを触る機会がないこともあります。SFAへの入力作業のために事務所に戻ったり、重いパソコンを常に持ち歩くのは億劫と感じることも。
マルチデバイス対応のSFAや、スマホ対応のSFAには、パソコンを使わなくても入力が完結するものがあります。外出先でもスマホから簡単に顧客情報や報告書が入力できるようになれば、ちょっとした空き時間や移動中にも片手でサクサク事務作業を進めることができ、入力が習慣化できますね。
シェアが高い
各サービスを比較して決め手になるものがないときは、シェアの高いものの中から選ぶという方法もあります。
より多くの企業で導入されている実績は信頼の証。また、導入実績が多ければ口コミやレビューなどの判断材料が多く、情報収集しやすいというメリットもあります。
全体のシェアだけではなく、自社と同じ業種でのシェアが高い製品に注目してみるのも良いでしょう。
SFAおすすめツール厳選5選!選定ポイント別に紹介
各選定ポイントを満たす、おすすめのSFAツールを紹介します。
シンプル操作で定着率の高い「GENIEE SFA/CRM(旧:ちきゅう)」
必要な項目・機能に絞り、低価格での提供を実現したGENIEE SFA/CRM。
「使われること」を最重視したシンプルな画面には、案件管理や営業管理に必要な最低限の機能が揃っています。設定・入力操作が簡単だから、紙やExcelからの移行もスムーズです。
特徴:
・だれでも使えるシンプルなUI
・低価格で利用できコスパに優れる
・必要十分な機能
・平均1ヶ月で運用開始
・グラフ作成は4クリックの簡単操作
料金:
契約は最低10ユーザーから
・ライト 1,480円(ユーザー/月)
・スタンダード 2,980円(ユーザー/月)
・プロ 4,980円(ユーザー/月)
・エンタープライズ 9,800円(ユーザー/月)
国内ユーザー向けの親切設計・サポート充実「ネクストSFA」
出典:https://next-sfa.jp/service/ui/
株式会社ジオコードが運用する、シンプルな画面が特徴のクラウド型のSFAです。
純国産ツールであり、「見ればわかる」日本語表示は不慣れなユーザーにもとっつきやすい印象。
同社はWeb制作も行っており、見やすい画面設計やボタン配置も好評です。
また、トライアル時から何度でも無料のサポート、初期設定から導入後のフォローなど、サポート体制が整っており、初めてのツール導入でも安心です。
特徴:
・無料でサポート(電話、メール、チャット、Web会議)が受けられる
・メニューが少なく操作に迷わない
・ユーザビリティを考慮したデザインで操作しやすい
・純国産ツールならではの分かりやすい日本語
・プログラミング不要、設定で簡単にカスタマイズできる
・スマホ(iOS、Android対応)
料金:
・初期費用 無料
・基本利用料(10ユーザー分含む) 50,000円/月
・ユーザー利用料 4,000円(ユーザー/月) ※11ユーザーから
グループウェアと連携するなら「Senses」
出典:https://product-senses.mazrica.com/
普段使っているグループウェアやコミュニケーションツールとの連携で営業活動を効率化するならSensesがおすすめです。
送信メールの内容を案件に取り込んだり、スケジュールをカレンダーへ同期することが可能で、同じ内容を複数のツールに登録する手間が不要。
取引先情報の入力も、社名を入力するだけでデータベースから企業情報を自動登録してくれます。
SFA運用の最大のネックである「面倒な入力作業」から解放され、効率的にデータの蓄積ができます。
特徴:
・Google、Microsoft365、Slack、Chatworkなど連携ツール多数
・企業名を入力するだけで情報を自動収集
・メール連携、カレンダー同期で入力負荷を軽減
・案件の更新情報はメールやチャットツールで通知
・AIによる受注予測、リスク分析
料金:
・スターター(5ライセンス含む) 月額25,000円~
・グロース(10ライセンス含む) 月額100,000円~
・エンタープライズ(20ユーザー含む) 月額300,000円~
スマホだけで業務が完結「cyzen」
パソコンを持ち歩かなくても、スマホで業務を完結できるSFA。
常に忙しく動き回る営業マンも、外出先や移動の合間に簡易な操作で情報の確認や報告書の作成ができます。
マップとGPSを活用し、顧客情報、訪問予定、メンバーの現在地などを空間的に展開。計画的かつ効率的な営業活動を支援する機能が揃っています。
特徴:
・報告書作成などの業務がスマホだけで可能
・すべての操作が数ステップ以内で完結、現場での入力負荷を軽減。
・取引先の所在地をスマホ上にマッピング。訪問先をいつでも確認できる
・スケジュールを地図上に表示し訪問計画をサポート
・メンバーの位置情報や移動軌跡を可視化し、遠隔指示を効率化
・報告書もスマホで作成、カメラで撮った写真を添付可能
・バーコード読み取りでメンテナンス業務の報告も簡単
・GPSデータで交通費を自動計算
料金:
・初期費用 要見積もり
・スタータープラン 3,500円~/ID ※契約は10ID単位
世界No.1シェア「Sales Cloud」
出典:https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/overview/
SFAの中でもっともよく知られている「Sales Cloud」。SFAを検討する際にはまず候補に挙がるのではないでしょうか。
ニーズに合わせたカスタマイズが可能で、様々な規模・事業形態の企業に対応。
セキュリティにも優れ、公的機関や金融機関にも導入されています。
これ一つでほぼ何でもできると言って良いほど多様な使い方が可能ですが、高機能である故にとっつきにくい面もあり、管理者を置いて適切な運用を行ったり、社内で使い方の教育を行う必要が出てくる場合もあります。
特徴:
・世界No.1シェアを誇るSFA
・多機能
・拡張性に優れ、開発で詳細なカスタマイズが可能
・高セキュリティ
・多言語に対応
料金:
(年間契約の場合)
・Essentials 3,000円(ユーザー/月)
・Professional 9,000円(ユーザー/月)
・Enterprise 18,000円(ユーザー/月)
・Unlimited 36,000円(ユーザー/月)
情報共有を加速させるならSFAとVoicePingの併用がおすすめ
SFAの導入で、外出先の営業マンと事務所のメンバー、リモートワークのメンバー間でのリアルタイムな情報共有が可能になり、場所にとらわれずチーム内での業務連携効率がアップします。
けれど、顔を合わせず、会話もなく、ただアップされた情報を読んでいるだけでは伝わらないことがあるのも事実。チームのメンバーの意見を聞きたいときや、議論の必要があるときには、SFA上でのやり取りだけでは足りないこともあります。
VoicePingは、チームのメンバーが仮想空間に出社するバーチャルオフィスツール。仮想オフィスで顔を合わせれば、直行直帰の営業マンも、在宅ワークのメンバーも、オフィスで一緒に仕事をしている感覚です。話しかけたいとき、何かを頼みたいとき、「今ちょっといい?」「これお願いします」とワンクリックで気軽に話しかけることが可能。簡単にメンバーを招集できる会議室や、画面共有・共同作業など、事務所外で業務を行うデメリットを克服できるツールです。
SFAの弱点を補い、営業マンやリモートワークのメンバーとの連携を強化できるコミュニケーションツールVoicePingの導入をぜひご検討ください。