フリーランスやスモールビジネスの経営者に人気のバーチャルオフィス。最近では、リモートワークの普及によりオフィススペースを最小限にし、足りない部分をバーチャルオフィスで補う利用方法も増えてきました。
この記事では、コストを抑えてバーチャルオフィスを利用したい方向けに、選び方のコツを紹介します。
目次
Toggle多様化するオフィスの形態
「バーチャルオフィス」とは、物理的実体を持たないオフィスのことを指します。
従来、オフィスを構えるには賃貸が主流でしたが、昨今では、短期間で契約できるレンタルオフィス、他のテナントとオフィスを共有するシェアオフィス・コワーキングスペース、実際のスペースがなくインフラのみを貸し出すバーチャルオフィスなど、多様な働き方に合わせたさまざまな形態のオフィスが誕生しています。
以下、それぞれの違いを簡単に説明します。
賃貸オフィス
賃貸契約を結んでオフィスを借りる形態です。原則、2年以上の長期契約で、賃料のほかに敷金や内装工事費用、備品の購入費用などがかかります。
レンタルオフィス
オフィススペースを貸し出すサービスです。電気・水道・インターネット・デスク・キャビネットなどオフィスに必要な設備や什器が揃っており、契約すればすぐに利用開始できるようになっています。
わずらわしい契約手続きは不要で、内装工事や什器の購入費用もかからず、1ヶ月程度の短期から契約できるため、すぐに仕事を始めたい場合や長期出張の拠点などにも活用できます。
シェアオフィス・コワーキングスペース
オフィススペースを複数の利用者が共用で使うのがシェアオフィス・コワーキングスペースです。占有スペースがなく、フリーアドレスで利用します。
複数拠点のオフィスの中から好きな拠点を利用できるサービスや、使った時間分だけの料金システムがあるサービスもあり、営業マンの外出先での仕事場や、起業家・フリーランスの交流の場としても利用されています。
バーチャルオフィス
バーチャルオフィスとは、事業のためのインフラを貸し出すサービスです。前述の3つと異なる点は、事務所(作業スペース)を必要としないことで、業務を行うのは自宅など別の場所になります。
バーチャルオフィスについては、次項で詳しく解説します。
バーチャルオフィスは2種類ある?違いを説明
「バーチャルオフィス」は、物理的実体(事務所)がなく、インフラ機能のみを貸し出すサービス全体を指す言葉ですが、最近では2通りの意味を持つようになりました。
バーチャルオフィスの意味その1:会社の住所や電話番号を貸す
従来、「バーチャルオフィス」と言えば、法人登記に必要な住所を貸し出したり、固定電話の電話番号を貸し出したりするサービスを指していました。
一等地の住所や「03」から始まる電話番号を安価で利用できるので、法人登記にかかる初期費用を抑えて起業・独立するためや、顧客の信頼を得るために利用するなどの用途があります。
バーチャルオフィス(住所貸し)では以下のようなサービスが提供されています。
- 住所の貸出(法人登記可能、郵便物転送)
- 固定電話の番号(電話転送、電話代行)
- 打ち合わせスペース、会議室
バーチャルオフィスの意味その2:オンライン出社のための仮想オフィス
テレワーク、リモートワークが普及した近年、注目されているのが、オンライン出社のための仮想オフィス。前述の住所や電話番号を貸し出すバーチャルオフィスサービスと区別するため、「バーチャルオフィスツール」と呼ばれる場合もありますが、ここでは「仮想オフィス」と呼びます。
各自のパソコンやスマホからオンライン上の仮想空間に出社することで、会話したりミーティングを行うことが可能。テレワークでも出社時と変わらないコミュニケーションを実現します。
仮想オフィスの主な機能には、以下のようなものがあります。
- 音声通話、ビデオ通話
- 業務状況のリアルタイムな可視化
- テキストチャット
2つのバーチャルオフィス(住所貸し・仮想オフィス)が実現する、事務所にとらわれない働き方
事務所を借りなくても「住所」と「出社場所」の二つの問題が解決できるようになった今日では、ビジネスの自由度が大きく上がりました。
起業・独立の際に「事務所を持たない選択」ができるようになっただけではなく、これまで事務所を持っていた企業が事務所を縮小したり、拠点を削減したりするケースも増えています。
事務所を持たない・事務所を最小限にするメリットをまとめてみました。
コスト削減
事務所を構えている以上、初期費用・維持費用がかかります。人が出社して業務を行うためには、人数分の什器や消耗品も揃えなければなりません。また、事務所の規模が大きければ大きいほど、出社する人数が多ければ多いほどコストは大きくなります。全員が出社して業務を行う必要がない場合には事務所の規模を最小限に縮小すれば大幅なコスト削減になります。
管理が不要
物理的な事務所があれば、自社で管理する手間と費用が発生します。定期的なクリーニングやメンテナンス、消耗品の補充などに多くのリソースを割かれている会社も多いはず。
現在は、OA機器から会議室まで、オフィスで必要なものはレンタル・シェアで利用できる時代です。
必要なものを必要なときだけ借りれば無駄がなく、不使用時に管理する手間も省けます。
事務所主義からの脱却で時間を有効活用
かつて、仕事は事務所で行うものでした。営業マンは取引先を訪問した後、事務所に戻って事務作業をしていましたが、現在では取引先近くのコワーキングスペースを利用したり、自宅に直帰してリモートワークすることで、移動時間を短縮し、時間を有効に活用できるようになりました。
バーチャルオフィス(住所貸し・仮想オフィス)の選び方
事務所にかかる費用や管理コストを最小限にしてビジネスに注力したい企業の味方、バーチャルオフィス(住所貸し)/仮想オフィス(オンライン出社)。
「どうやって選んだらいいかわからない」という方向けに、選び方のコツを紹介します。
バーチャルオフィス(住所貸し)はこんな方向け
バーチャルオフィス(住所貸し)は、主に外部とのやり取りの拠点になるもの。
これから起業する方など事務所の住所がない場合や、郵便・電話の利用が想定される方におすすめです。電話応対や来客対応を代行してくれるサービスもあり、一人で起業する場合も安心です。
- 法人登記などで住所が必要
- 郵便を利用する
- ビジネス用の固定電話が必要
- 郵便や電話を転送したい
- 秘書サービスを利用したい
- 会議室や応接スペースを使う予定がある
バーチャルオフィス(仮想オフィス)はこんな方向け
仮想オフィスは、メンバーが仮想空間のオフィスでコミュニケーションを取ることができるツールで、社内での利用がメインです。音声通話やファイル送信操作が簡単で、電話やメールよりもはるかにスピーディな情報共有が可能です。
- 3名以上のチームで仕事をしている
- リモートでも簡単に声かけをしたい
- テレワークでも皆で自然に集まって話したい
- 他のメンバーの状況を可視化したい
- 社内での音声通話やビデオ会議を頻繁に行う
- 資料を簡単に共有したい
- リモートワークで部下のマネジメントに不安がある
バーチャルオフィス(仮想オフィス)でコスト削減&生産性アップ
「テレワークの開始で広い事務所は不要になったけれど、社員が集まる場所はなくしたくない」という理由からオフィスを維持している会社は少なくないかもしれません。
そんな場合におすすめなのが、仮想オフィス。事務所と変わらない感覚でオンライン出社し、雑談したり、共同作業したりできます。
ハイブリッド出社体制のコストを削減したい場合におすすめ
テレワークの導入が進んでいますが、業務内容によっては出社しなければならないことがありますね。フルリモートまではできなくても、状況に応じて出社と在宅勤務を使い分けたり、交代で出社するなどの「ハイブリッド体制」をとる会社が増えています。
実際に出社する人は少なくなったので、従来のオフィスのままでは無駄なオフィスコストが発生しています。そのような場合には、専用のオフィスをやめて、シェアオフィス+仮想オフィスの併用体制を取ることで、オフィスコストを抑えながらも、コミュニケーションの質・量を落とさず理想的なオフィス運用が可能です。
物理スペース不要の場合におすすめ
仮想オフィスには物理スペースはありませんが、会議室、ファイル共有、共同編集などの機能があり、実際に対面で打ち合わせをするのと変わらない生産性を維持することができます。これまで紙で保管していた資料のデジタル化・ペーパーレス化でより管理が容易になるメリットもあります。
とにかく安く抑えたい場合におすすめ
必要なのはパソコンやスマホなどのデバイスとインターネット環境のみで、専用機器も工事も必要ありません。格安シェアオフィスに比べても月額利用料が安いサービスが多く、事務所の賃料よりはるかにコストを抑えることができます。
格安バーチャルオフィス(仮想オフィス)おすすめ3選
テレワークでのコミュニケーションやマネジメントに効果を発揮する、おすすめの仮想オフィスを紹介します。
VoicePing
VoicePingは、リアルオフィスのコミュニケーションを再現しています。メンバーのオンラインステータスや作業中のアプリを表示し、話しかけて良いメンバーが一目でわかるため、個別の会話からミーティングへの移行、アプリでの共同作業もスムーズです。
特徴:
- Slack、Chatworkと連携可能
- 音声通話やweb会議を日本語で自動文字起こし
- 勤怠機能付き
料金:
- 無料プラン 最大5人 0円/月
- スモールプラン 最大15人 7,500円/月
- プレミアムプラン 最大50人 20,000/月
oVice
アバターが出社して仮想フロアを歩き回るoVice。遠くの人の声は小さく、近くの人の声は大きく聞こえるから、興味のある話題を耳にしたらすぐに会話に参加可能です。機密事項を扱う会議は、ルームをロックすれば安心で数百人規模のイベントやセミナーにも対応しています。
特徴:
- 近くの人の声が聞こえるから立ち話や飛び入り参加が可能
- ルームには施錠機能あり
- 展示会や交流会にも使える
料金:
- Basic 推奨20人(最大50人) 5,500円/月
- Standard 推奨50人(最大200人) 22,000円/月
- Organization 推奨150人(最大500人) 55,000円/月
- 独自カスタマイズ 要問い合わせ
Tandem
アメリカのスタートアップ企業Tandem社が提供。アバターやアイコン表示がなく、シンプルなレイアウトが特徴です。言語は英語のみですが直感的なUIで抵抗なく使えます。
使用中のアプリのステータス表示でメンバーの作業状況を可視化しており、Spotify連携で聞いている音楽もわかったりするので、会話のきっかけにもなります。
特徴:
- アバターなしのシンプルなUI
- 40以上のアプリで共同作業が可能
- 英語のみ対応
料金:
- Free 最大5人 無料
- Small Teams 最大10人 $49/月
- Medium Teams 人数制限なし $99/月
- Large Teams 人数制限なし $300/月
バーチャルオフィス(仮想オフィス)で働き方が進化する
テレワーク・リモートワークの推進にともない、仕事の進め方も変わってきました。
取引先を訪問しての商談は、あっという間にオンライン会議に代わりましたね。
感染症防止対策などの理由で出社人数を絞った結果、紙の書類のやり取りがデジタルに置き換わったり、代表電話への入電が減ったりといった変化を感じた方も多いかと思います。
業種にもよりますが、仕事をする場所が「デスク」から「オンラインツール上」へ、「会議室」から「仮想空間」へ、変わっていく日もそう遠くないのではないでしょうか。
新しい働き方を実現する仮想オフィスは、お手持ちのデバイスで、お手頃な料金から始められます。
ご興味がありましたらぜひ、トライアルで体験してみてください。