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外国人を採用するときは、まず任せる仕事を決め、その業務で働ける在留資格と本人の経験を確認します。採用費だけでなく、入社後の賃金、安全教育、生活支援にかかる費用と担当者の時間も見込んでおきましょう。
日本で働く外国人は2025年10月末に257万1,037人となりました。国によって採用経路や働く産業の構成は異なり、同じ国の出身者でも経験や希望は一人ひとり違います。
初めて採用する方は準備と手続きの流れ から確認できます。国別の動向 、職種と在留資格 、職場の課題 、制度変更 も、担当する業務に合わせて参照してください。確認日は2026年9月26日です。 雇用人数は2025年10月末、賃金・意識調査は同年9月末のデータを使い、今後の施行予定とは分けて示します。
外国人労働者は257万人、小規模な職場でも増えている
雇用者数は1年で26.8万人増加
厚生労働省の雇用届出によると、外国人労働者は2024年の230万2,587人から、2025年に257万1,037人へ増えました。増加数は26万8,450人、増加率は11.7%です。雇用する事業所も34万2,087か所から37万1,215か所へ8.5%増えています。厚生労働省・2025年10月末の届出状況

年別の正確な人数を表で見る(2021〜2025年)
| 年 | 外国人労働者数 |
|---|---|
| 2021年 | 1,727,221人 |
| 2022年 | 1,822,725人 |
| 2023年 | 2,048,675人 |
| 2024年 | 2,302,587人 |
| 2025年 | 2,571,037人 |
出典:厚生労働省・統計表、参考表1 。雇用届出の対象は、特別永住者と在留資格「外交」「公用」を除く外国人労働者です。日本に住む外国人全体の人数とは異なります。
「30人未満が63.1%」は外国人雇用事業所の内訳
外国人を雇う事業所のうち、従業員30人未満の事業所は23万4,086か所で63.1%を占めます。そこで働く外国人は92万8,267人で、外国人労働者全体の36.1%です。小規模な職場が受け入れを支えている一方、労働者数の分布は事業所数の分布と同じではありません。統計表・表8

この数字から「中小企業の63.1%が外国人を採用している」とは言えません。分母は外国人を雇用する事業所であり、全企業ではないためです。また、支店や工場などの「事業所」と「企業」は集計単位が異なり、30人未満という区分も法律上の中小企業の定義とは一致しません。
人手不足への対応と、人材の能力への期待がある
2025年外国人雇用実態調査で、雇用理由として「労働力不足の解消・緩和」を挙げた事業所は68.2%、「日本人と同等又はそれ以上の活躍を期待」は56.2%でした。複数回答のため、理由は重なります。採用計画には、技術、顧客対応、海外との連携など、本人に任せたい仕事を具体的に書き込みます。厚生労働省・2025年外国人雇用実態調査
なお、この実態調査は雇用保険被保険者5人以上で外国人を雇用する事業所などを対象とする標本調査です。前節の雇用届出とは対象と集計方法が異なります。
国別の動向は、在留資格と働く産業を合わせて読む
最も人数が多いのはベトナムで60万5,906人、次いで中国、フィリピンです。一方、前年からの伸びはミャンマー42.5%、インドネシア34.6%、ネパール25.7%などで大きくなっています。人数の多さと増加の速さは別の指標です。

国・地域別の人数・構成比・前年比(全14区分)
| 国・地域/集計区分 | 人数 | 全体に占める割合 | 前年比 (増減率) |
|---|---|---|---|
| ベトナム | 605,906人 | 23.6% | +6.2% |
| 中国(香港・マカオを含む) | 431,949人 | 16.8% | +5.7% |
| フィリピン | 260,869人 | 10.1% | +6.2% |
| ネパール | 235,874人 | 9.2% | +25.7% |
| インドネシア | 228,118人 | 8.9% | +34.6% |
| ミャンマー | 163,311人 | 6.4% | +42.5% |
| ブラジル | 134,645人 | 5.2% | −1.1% |
| 韓国 | 80,193人 | 3.1% | +6.9% |
| スリランカ | 50,427人 | 2.0% | +28.9% |
| タイ | 41,468人 | 1.6% | +4.2% |
| インド | 31,636人 | 1.2% | +11.2% |
| ペルー | 31,448人 | 1.2% | −0.4% |
| G7等 | 86,520人 | 3.4% | +2.8% |
| その他 | 188,673人 | 7.3% | +10.1% |
出典:厚生労働省・統計表の表1、参考表4 。割合は公表値で、丸めにより合計が100%にならない場合があります。「G7等」はこの統計独自の区分で、フランス、米国、英国、ドイツ、イタリア、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ロシアを含みます。
以下の在留資格・産業の割合は、それぞれの国籍の労働者を分母にした値です。産業は勤務先事業所の分類で、個人の職種ではありません。「専門的・技術的分野」には特定技能も含まれるため、全員をエンジニアや事務職と読むこともできません。届出上の資格には、同じ雇用主の下で働き続ける間の資格変更が反映されていない場合もあります。統計表・表1、表7
ベトナム:技能実習・特定技能と専門職の両方が大きい
ベトナムは、技能実習が36.1%、専門的・技術的分野が38.0%です。後者に含まれる「技術・人文知識・国際業務」はベトナム籍の労働者全体の18.5%、特定技能は同18.1%を占めます。勤務先では製造業が37.5%、建設業が12.3%を占めます。
製造現場の採用でも、作業を担当する人材と設計・生産技術を担当する人材では、確認する資格や経験が変わります。実習から特定技能へ進む候補者には、任せる作業、試験、昇給の条件をつなげて説明すると、将来の役割を共有しやすくなります。
中国:専門職・定住層・留学生の経路を分ける
中国は専門的・技術的分野42.9%、身分に基づく資格33.9%、資格外活動14.8%と、複数の経路が並びます。勤務先は卸売・小売21.2%、製造16.2%、情報通信10.8%などに分散しています。
海外取引、システム開発、店舗業務を一括して「中国語人材」と募集すると、職務と希望のずれを生みます。業務で使う言語とその水準、担当する顧客、技術経験を具体化し、日本での職歴や本人のキャリア希望も確認しましょう。
フィリピン:在留の安定性と就業経験を生かす採用も重要
フィリピンは、永住者や日本人の配偶者等を含む「身分に基づく在留資格」が60.3%です。製造業31.6%に加え、医療・福祉9.1%などで働いています。技能実習も18.0%を占め、採用経路は一つではありません。
国内で転職を希望する経験者と、海外から初めて来る人では必要な支援が異なります。介護分野なら、国籍や会話の印象だけで判断せず、資格、実務経験、記録を読む力、利用者とのやり取りを実際の業務に沿って確認します。
ネパール:留学生等の就労時間と卒業後の職務設計が要点
ネパールは資格外活動が66.8%です。その内数にあたる留学の資格で働く人は11万4,259人で、ネパール籍の労働者全体の48.4%を占めます。勤務先は宿泊・飲食サービス29.3%、卸売・小売16.3%などです。採用担当者は、学校の予定、掛け持ち先を含む就労時間、卒業時期を把握する必要があります。
アルバイトでの活躍を見て正社員登用する場合も、卒業すれば同じ業務を無制限に続けられるわけではありません。担当する職務に合う在留資格への変更を、就労開始より前に確認します。制度上の条件は職種別の整理 で説明します。
インドネシア:現場の育成と資格移行を計画に組み込む
インドネシアは技能実習52.6%、特定技能30.5%で、この二つが大きな割合を占めます。勤務先は製造32.4%、建設22.6%、医療・福祉12.4%です。
この構成を踏まえ、現場の採用では作業教育と次の在留資格への移行を一緒に計画すると、教育と申請の担当を調整しやすくなります。日本語の指示、安全作業の実演、技能の評価、次の試験までを指導担当者と共有します。食事や礼拝などの希望があるかは本人に聞き、国籍から一律に決めないようにします。
ミャンマー:急増する中で、本人ごとの在留条件を確認する
ミャンマーは前年比42.5%増で、宿泊・飲食25.1%、医療・福祉16.8%、製造15.2%などに広がっています。在留資格では特定技能23.0%、技能実習22.6%、特定活動19.5%、資格外活動21.3%と構成が多様です。
「特定活動」は許可された活動が人によって異なります。在留カードだけで判断がつかない場合は旅券に添付された指定書も確認し、採用予定の業務や時間が許可の範囲に入るかを確かめます。人数の急増だけでは、全員の来日理由や就労条件までは分かりません。
ブラジル:製造業の経験と長期の生活基盤に目を向ける
ブラジルは身分に基づく資格が98.5%で、製造業が37.1%です。「サービス業(他に分類されないもの)」も36.1%を占めますが、この区分には人材派遣などが含まれ、飲食サービスを意味しません。
人数が前年比1.1%減でも、地域や職務ごとの採用可能性までは分かりません。経験者の技能評価、直接雇用への希望、交替勤務と家庭生活の両立を確認し、現場のリーダーや教育担当への道筋を示すことが採用判断の材料になります。
韓国:専門職の役割と評価基準を具体化する
韓国は技術・人文知識・国際業務が38.2%、身分に基づく資格が42.4%です。卸売・小売20.0%、情報通信13.5%などに分布します。なお、この雇用統計には特別永住者を含まないため、日本で働く韓国籍の人全体を表す数字ではありません。
開発、企画、営業、海外事業などの募集では、期待する成果と担当範囲を先に示します。日本語力と職務の専門性を別々に評価すると、語学の得意不得意だけで能力を見誤ることを避けられます。
スリランカ:採用増に合わせて学校・勤務時間との調整を
スリランカは前年比28.9%増で、資格外活動が47.8%です。その内数にあたる留学の資格で働く人は2万1,021人で、スリランカ籍の労働者全体の41.7%を占めます。勤務先は宿泊・飲食24.8%、卸売・小売22.2%が目立ちます。
留学生のアルバイトと、技術・人文知識・国際業務などで働く人を分けて採用条件を確認します。シフトの柔軟性、試験期間中の勤務、将来の就職相談を担当する窓口を決めておくと、勤務可能時間の思い違いを減らせます。
タイ:現場人材と国内の経験者で支援の内容が変わる
タイは製造業が43.9%を占めます。在留資格は技能実習32.9%、身分に基づく資格33.4%で、いずれも一定の規模があります。
新たに来日する人には生活の立ち上げと基礎教育、国内の経験者には技能の認定や配置・昇給の説明と、必要な対応を変えます。既存のタイ語マニュアルがある場合も、機械や作業工程の変更が反映されているかを確認しましょう。
インド:情報通信の比重は高いが、職種を一括りにしない
インドは専門的・技術的分野が69.8%です。その内数にあたる技術・人文知識・国際業務は1万4,248人で、インド籍の労働者全体の45.0%を占めます。情報通信18.0%に加え、製造14.5%、宿泊・飲食14.1%などで働いています。
情報通信の比重が高いことは、応募者全員がIT技術者であることを意味しません。開発言語や設計経験、品質管理、顧客との調整など、役割に必要な経験を確かめます。日常の指示を英語にする場合も、本人が使う言語と社内の受け入れ体制を個別に確認します。
ペルー:国内の転職市場と技能の継承を考える
ペルーは身分に基づく資格が98.4%、製造業が32.1%です。前年比は0.4%減で、急増する国とは異なる動きです。ここでも人数の変化だけから転職意欲や定着率は判断できません。
現場での経験年数、資格、教育経験を確認し、作業者から班長・指導担当へ進む条件を明示します。通勤、勤務時間、住居など、本人や家族が地域で暮らし続けるうえで困っていることも聞いておきましょう。
欧米・オセアニア等と、その他の国・地域も見落とさない
統計の「G7等」は8万6,520人で、教育・学習支援業が34.7%を占めます。内数の米国は3万5,007人、英国は1万3,399人です。情報通信や卸売・小売などにも分布するため、語学講師だけを想定した採用にはしない方がよいでしょう。
「その他」には18万8,673人が含まれます。この集計では、アフリカや中東など個々の国・地域の数値を独立して確認できません。採用対象にする国のデータが必要なら、追加の公的統計と採用経路を調べます。上の表に独立した行がないことは、その国の人材が少ない、採用に向かないという意味ではありません。
職種と役割を決めてから、在留資格を確認する
2025年の雇用届出では、製造業が外国人労働者の24.7%、卸売・小売が13.3%、宿泊・飲食が12.4%を占めます。医療・福祉は人数が前年比25.6%増えています。ただし「製造業で働く」という情報だけでは、設計、製造作業、営業のどれを担当しているかは分かりません。統計表・表6
以下は採用時に職務を切り分ける例です。表の職種名だけで就労許可が決まるわけではありません。 実際の業務内容、本人の学歴・経験・資格、受入機関の要件を照合します。
| 産業 | 分けて考える職種・役割 | 採用・配置での確認 |
|---|---|---|
| 製造 | 製造作業、検査、設備保全/設計、生産技術 | 現場業務の対象区分と、専門知識を要する技人国の業務を区別。資格や技能講習、安全教育も確認 |
| 建設 | 施工、熟練作業/設計、施工管理 | 建設分野の受入計画や業務区分、必要資格を確認。監督・指示役への昇格条件を明示 |
| 介護 | 身体介護、生活支援/介護計画や後輩指導 | 特定技能の要件、介護福祉士と在留資格「介護」などの経路を区別。医療・看護の業務と混同しない |
| 宿泊・外食 | 調理、配膳、接客、フロント/店舗管理、専門的な企画 | 宿泊と外食は別分野。外食業1号の停止措置、技人国の言語業務の条件を確認 |
| 情報通信 | 開発、設計、品質保証、運用/顧客調整、プロジェクト管理 | 技人国等に該当する専門業務と本人の経歴を照合。使用技術と期待する成果を具体化 |
| 卸売・小売 | 販売、品出し/海外取引、マーケティング、通訳 | 外国語対応が一部あるだけで技人国に該当すると決めない。主たる業務と就労時間を確認 |
| 農業・漁業 | 栽培・飼養、漁業・養殖の作業/作業指導 | 分野と業務区分、季節性、雇用形態を確認。育成就労では農業と漁業をまたぐ育成は不可 |
業務範囲の根拠:技人国の明確化資料 、特定技能の分野別方針 、育成就労Q&A 。個別の許可や資格要件は、担当する入管・分野所管省庁の案内で確認してください。
「技人国」「特定技能」「身分に基づく資格」を区別する
「技術・人文知識・国際業務」(技人国)は、自然科学・人文科学の知識や、外国の文化に基づく思考・感受性などを必要とする業務の在留資格です。「外国語を少し使うから」「大学を卒業したから」だけで、あらゆる現場業務に従事できるわけではありません。出入国在留管理庁・技人国
特定技能は、人手不足分野で一定の技能を持つ人を受け入れる制度です。1号では職業生活・日常生活・社会生活の支援計画も必要になります。一方、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者は、在留資格による就労活動の制限がありません。ただし、業務に必要な免許や労働法上の条件は別に確認します。特定技能の雇用上の注意 、外国人雇用のルール
留学生や家族滞在者などが包括的な資格外活動許可で働く場合は、原則週28時間以内です。掛け持ち先があれば合計で管理します。留学生の学校が定める長期休業中には1日8時間以内という扱いがありますが、卒業後も留学のアルバイト許可が自動的に続くわけではありません。資格外活動許可 、入管の審査Q&A
近年の課題は、言語に加えて賃金・安全・費用にもある
指示を伝え、理解できたかを確かめる
2025年外国人雇用実態調査で、雇用上の課題として「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」を挙げた事業所は46.2%でした。在留資格申請等の事務負担は24.8%、生活環境整備の費用負担は21.9%です。複数回答のため、同じ事業所が複数の課題を挙げています。言葉を訳すことに加え、手続と生活支援を担う人を決める必要があります。実態調査・事業所調査
「分かりました」という返答だけでは、作業を理解したか確かめられません。機械の停止手順なら、短い説明と実演のあとに本人にも実演してもらう。納期の指示なら、日付・数量・担当を本人の言葉で説明してもらう。こうした確認を日常の教え方に組み込みます。
文化の違いにまとめず、労働条件と希望を話し合う
残業代、休暇、異動、昇給の説明不足は、どの国籍の社員にも起こり得る問題です。実態調査の一般労働者の月間きまって支給する現金給与額は29万2,400円ですが、これは短時間労働者を除き、超過勤務手当などを含む平均額です。手取り額や、同じ仕事に対する標準的な採用賃金ではありません。実態調査・労働時間と賃金
給与を提示するときは基本給、残業代、控除、住居費、支払日を分けます。比較するのは国籍ごとの平均賃金ではなく、担当業務、責任、経験に見合う自社の処遇です。特定技能でも日本人と同等以上の報酬などが求められます。特定技能の受入基準
食事、宗教行事、家族との生活、帰国休暇などの希望は、本人との面談で確認します。「この国の人は自己主張が強い」「定着しにくい」といった説明では、職場で改善すべき条件を見落とします。
労働災害と未払いを、受け入れ側の管理課題として扱う
2026年9月公表の監督指導結果では、2025年に監督した技能実習実施事業場1万3,148か所のうち9,619か所(73.2%)、特定技能所属機関8,082か所のうち6,179か所(76.5%)で労働基準関係法令の違反が確認されました。主な違反には機械等の安全基準、健康診断後の医師の意見聴取、割増賃金の支払いがあります。厚生労働省・2025年の監督指導結果
これは違反が疑われる事業場などを監督した結果で、外国人を雇う全企業の違反率ではありません。 それでも、自社の点検項目を具体化する材料にはなります。安全装置、保護具、危険時の停止・連絡、健診後の対応、実労働時間と賃金を確認しましょう。
安全教育は、本人が理解できる言語や図、実演を組み合わせます。厚生労働省には業種別の多言語教材や注意喚起のイラストがあります。翻訳文を渡した事実に加え、危険と回避方法を理解できたかまで確認することが大切です。外国人労働者の安全衛生管理・教材
紹介費用と相談先を、入社前から明らかにする
実態調査で就労上のトラブルを「ある」と答えた労働者は10.0%でした。そのトラブル経験者のうち、紹介会社・送出機関等の費用が高かったという回答が22.2%、相談先が分からなかったという回答が15.8%です。後の二つは、全労働者を分母にした割合ではありません。また、調査対象は現在雇用されている人で、すでに離職した人の経験まで代表するものではありません。実態調査・就労上のトラブル
採用企業は紹介会社の請求額だけでなく、本人にどのような費用が説明され、何を負担する契約になっているかを確認します。職場の上司に直接言いにくい相談もあるため、人事や外部窓口への連絡方法を、本人が読める形で渡しましょう。
指導担当者の時間を確保し、支援を一人に集中させない
採用後に「外国語が分かる社員へすべて任せる」と、通訳、教育、生活相談が一人に集まります。現場の作業指導、労務手続、生活相談、評価面談の担当を分け、それぞれに必要な時間を業務計画へ入れます。小さな会社で兼任する場合も、それぞれの仕事を誰が引き受けるかは決めておきます。
大企業でも、採用人数だけで定着が保証されるわけではありません。中小企業が取り入れやすいのは、入社説明の共通資料、相談先の複数化、定期面談、技能と昇給の対応表です。社内で難しい支援は、公的窓口や要件を満たす外部機関と分担します。
2026年の運用変更と、2027年以降の制度を押さえる
受け入れ分野の拡大と並行して、資格に合う業務の確認や届出の適正化が進み、分野別の上限に伴う停止も起きています。採用日程を決める前に、施行日と本人に適用される条件を確認してください。
育成就労は2027年4月開始、申請準備はすでに始まっている
育成就労は、原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能と日本語能力を育てる制度です。国際貢献を目的としてきた技能実習から、人手不足分野での人材育成・確保へ制度の目的が変わります。出入国在留管理庁・育成就労Q&A
| 時期・項目 | 確認できる制度内容 | 企業の準備 |
|---|---|---|
| 2026年4月15日・9月1日 | 監理支援機関の許可は4月15日、育成就労計画の認定は9月1日から施行前申請を受付 | 監理支援機関、対象業務、育成計画の申請条件を確認 |
| 2027年4月1日 | 育成就労の運用開始。現行の技能実習には経過措置あり | 既存実習生の段階・開始日と、新規採用の制度を分けて管理 |
| 育成と日本語教育 | 原則3年で特定技能1号水準へ。日本語は原則A2相当を目標とし、分野により高い水準あり | 技能試験、認定日本語教育機関等の講習、費用と学習機会を計画 |
| 本人の意向による転籍 | 同一業務区分内で、分野ごとの1〜2年の制限期間、技能・日本語等の要件を満たす場合に可能 | 処遇・育成・相談を整備。人権侵害等による転籍は別の条件で扱う |
| 送出機関への費用 | 本人から徴収できる費用は所定内月給の2か月分が上限。超える分は育成就労実施者または監理支援機関が負担 | 契約と費用の内訳、本人負担、受入側の予算を確認 |
出典:育成就労Q&A 、2026年7月版の制度概要 。申請実務は外国人技能実習機構の育成就労案内 も確認してください。
日本語については、A1相当の試験合格または所定の講習を就労開始前に確認し、その後のA2相当の学習機会を計画します。試験合格による講習の免除などもあります。講習費用は育成就労実施者または監理支援機関が負担するため、「本人が休日に自費で学ぶ」前提だけで予算を組むことは避けましょう。詳しい時間数・実施機関の条件は分野別方針と運用要領で確認します。
受入上限と移行条件は、人数の拡大と分けて確認する
2026年7月の制度概要では、育成就労は17分野、特定技能1号は19分野です。2028年度末までの受入上限は、特定技能1号80万5,700人と育成就労42万6,200人の合計123万1,900人とされています。現在の在留者に追加して123万人を受け入れるという意味ではありません。 分野ごとの上限を合計した数字です。育成就労Q&A・受入れ見込数
分野が制度上の対象になっていても、すぐに自社の採用が可能とは限りません。9月26日時点の入管の案内では、物流倉庫と資源循環は省令等の準備が整い次第受け入れ可能とされています。対象業務、試験、受入要件、申請の開始・停止を確認します。現行の分野別方針と受入案内
技能実習からの移行にも経過措置があり、既存の実習生が全員同じ日に育成就労へ切り替わるわけではありません。
外食業1号は新規の交付停止中。更新とは扱いが異なる
外食業は上限5万人に達する見込みとなり、2026年4月13日から特定技能1号の在留資格認定証明書の交付停止措置が始まりました。同日以降に受理した交付申請は不交付、在留資格変更申請は原則不許可とする一方、在留期間更新は通常どおり審査する扱いです。停止前の申請や一部の変更には別の扱いがあります。入管・2026年9月9日会議資料4-1
同じ外食業内での転職、医療・福祉施設給食製造の技能実習からの変更などにも条件があるため、「外食の外国人は全員更新できない」「契約済みなら海外から必ず呼べる」といった判断は避けます。農林水産省は1号技能測定試験も当面行わないと案内しています。採用計画を立てる際は、その時点の入管と農水省の案内を確認してください。外食業の外国人材受入れ案内 、入管・9月会議の審査状況資料
技人国の言語業務は、2026年4月の追加資料を確認する
2026年4月15日以降の申請では、所属機関が申請書類上のカテゴリー3・4に該当する場合、代表者に関する申告書などが追加されています。主に言語能力を使う対人業務等では、業務で使う言語について、言語の熟達度を示す共通参照枠(CEFR)のB2相当の能力を示す資料も求められます。通訳・翻訳、ホテルフロント等を採用する企業は、現在の提出書類一覧を確認しましょう。技人国・申請案内
日本語では日本語能力試験(JLPT)のN2以上などが認められますが、日本の大学等の卒業・修了など、ほかの確認方法もあります。全外国人社員や全エンジニアにN2を一律に要求する変更ではありません。既に在留している人も、転職や職務変更で対象となる業務を主に行う場合は確認が必要です。言語能力を用いる対人業務の明確化
今後の改善は、手続の適正化と学習・生活支援を両立させる
2026年7月の関係閣僚会議では、雇用届出の適正化、在留申請・届出のオンライン化、日本語教育の地域差への対応などが示されました。日本語・生活学習プログラムは2028年度からの試行実施に向けた検討事項です。将来の方針を、すでに全員へ適用される受講義務と混同しないようにします。内閣官房・今後の取組の方向性
企業の立場からは、制度の改善を次の点で見ていくと実務への影響が分かります。以下は統計と制度を踏まえた本記事の分析です。
- 費用の透明性: 本人負担と企業負担を明確にし、送出・紹介の過程を確認できるか。採用費を安く見せるだけでは、本人の負担が見えなくなります。
- 技能と処遇の接続: 日本語や技能を身につけた人に、昇給、役割の拡大、次の資格への道があるか。試験合格者数だけで育成の成果を測らないことが重要です。
- 地域の支援体制: 小規模企業でも日本語教室、住居、学校、医療、相談窓口へつなげられるか。オンライン学習を含め、地域差を埋める仕組みが必要です。
- 転籍と権利保護: 本人が相談・移動でき、受入側も育成費用を見通せるか。定着は移動を妨げることではなく、働き続けたい条件を整えることで考えます。
- 予測しやすい運用: 分野別の上限、申請処理、停止・再開の情報が早く分かるか。企業と本人が、入社や学習にかける費用を判断するための情報になります。
外国人を採用する手順と、入社後の担当
募集する仕事と条件を決め、本人の在留資格で働けるかを確認します。そのうえで必要な許可・届出、住居、入社時の説明を準備しましょう。次の表で、各段階の担当と外部へ委託する範囲を決めておくと、手続きや支援の抜けを防げます。
| 場面 | 具体的な準備 | 確認する担当 |
|---|---|---|
| 募集・内定前 | 職務、必要技能、言語、賃金・控除、勤務場所、在留資格との適合を確認 | 採用担当+現場責任者。許可・労務の個別判断は専門家へ |
| 入社まで | 許可・期限・届出、住居と通勤、支援計画、本人負担費用、相談先を確認 | 人事・労務+支援担当/登録支援機関 |
| 入社・配属時 | 労働条件、給与明細、安全作業、緊急連絡、質問方法を説明し理解を確認 | 現場指導者+労務担当。説明を一人に集中させない |
| 定期面談・評価 | 業務の習得、勤務時間、生活上の困り事、学習、昇給・次の役割を確認 | 上司+本人が相談しやすい別の担当 |
外国人の採用・離職時には、対象者についてハローワークへの雇用状況の届出が必要です。在留カード等で資格や期限などを確認します。厚生労働省・雇用届出の案内
特定技能1号では、事前ガイダンス、送迎、住居・契約支援、生活オリエンテーション、公的手続、日本語学習、相談・苦情、交流、一定の場合の転職支援、定期面談等の10項目が義務的支援です。登録支援機関への委託もできますが、委託範囲と社内の役割を明確にしてください。出入国在留管理庁・支援計画
多言語マニュアルは、現場で使う一つの作業から整える
最初から社内文書をすべて翻訳するより、危険の大きい作業や質問が多い作業を優先します。写真・図、短い文章、禁止事項、異常時の連絡先を組み合わせ、機械や工程が変わったときの更新担当も決めます。
「これを適当に処理して」では行動が決まりません。「赤い箱に入れる」「異音がしたら停止して班長へ連絡する」のように、行動と判断条件を示します。専門用語は対訳をそろえ、現場の担当者が訳文を確認してください。
勤怠の記録と給与明細を、本人も確かめられるようにする
勤怠管理では始業・終業、休憩、残業、休暇と給与計算を対応させます。PCの利用ログは補助資料にはなりますが、現場作業やPCを使わない仕事を含む労働時間を、ログだけで全て把握できるわけではありません。
給与明細の項目と修正依頼の方法を説明し、本人が疑問を伝えられる窓口を設けます。担当者は実際の勤務と記録を照合し、残業や控除が正しく計算されているかを継続して確認します。
翻訳と記録を、入社説明・面談の補助に使う
VoicePingのミーティングボットは、Teams・Zoom・Google Meetの会議に参加し、原文と翻訳字幕を共有リンク先に表示する製品です。離れた拠点の社員との入社説明や定期面談で、説明を読みながら質問する使い方ができます。VoicePing ミーティングボット

たとえば、担当者が勤務時間と相談先を説明し、本人が字幕を見ながら質問する。面談後は、合意した内容を担当者が原文と照合して整理し、本人にも確認してもらいます。対応言語や契約条件は製品ページで確認し、実際に使う言語、専門用語、話し方で事前に試してください。
賃金・契約・安全に関わる説明は、誤訳の影響が大きい内容です。翻訳結果だけで理解や同意が得られたと判断せず、本人の説明や実演、必要に応じた通訳・専門家の確認を組み合わせます。保存する記録の範囲と閲覧者も決め、面談の目的を本人へ説明しておきましょう。
採用計画に、本人が成長し働き続ける条件を入れる
国別の人数や産業構成は、採用経路や支援体制を考える材料になります。実際に採用する際は、担当職務、本人の経験、在留資格、希望する働き方を一つずつ確認します。
まずは募集する一職種について、業務と処遇、必要な許可、安全教育、生活相談、学習と昇給の条件を書き出してください。育成就労への準備や現行制度の変更も、その職種と入社時期に照らして確認すると、誰が何を準備するかを決めやすくなります。

