
この記事の内容
中国語の翻訳は、話す言葉・文字の表記・入力方法を分けて選ぶと、候補を絞れます。 上海でメニューを読む場面と、香港の取引先の広東語を聞く場面、繁体字の資料を訳す場面では、必要な機能が違います。
この記事では、アプリ・辞書9種類、翻訳機・イヤホン4種類、API1種類を、1〜14の順番で紹介します。掲載順は精度順位ではありません。料金・仕様の確認日は2026年9月19日。公開情報の比較であり、実機の認識精度を同じ条件で測定したランキングではありません。
用途から候補を絞る
- 会議を記録して共有: VoicePing。会議の参加方式と必要な保存・共有機能を確認する。
- 旅行中の一言や写真: Google翻訳、Microsoft Translator、Apple翻訳、Papago。実際に使う中国語の種類で試す。
- メールや資料の下訳: DeepL。用語、数値、表の対応を人が確認する。
- 中国語UIのアプリも比較: 百度翻訳、有道翻訳官。入手方法やログイン、現地回線での動作も調べる。
- 一語ずつ意味を調べる: Pleco。辞書の説明言語と追加機能を選ぶ。
- 受付の共用端末: ポケトークS2、iFLYTEK、Vasco V4。Timekettle W4 Proはスマートフォン連携のイヤホンとして比較する。
- 社内システムへ組み込む: Tencent Machine Translation。APIの開発と運用が必要。
普通話・広東語と、簡体字・繁体字の違い
普通話や広東語は「話す言葉」、簡体字や繁体字は「文字の表記」です。台湾華語は台湾で使われる標準中国語で、台語(台湾閩南語)とは区別します。音声入力・翻訳先の文字・読み上げの声を、それぞれ確認してください。
北京・四川など地域による普通話の発音差と、上海語などの呉語、閩語、客家語といった言語・方言群も同じではありません。「中国語対応」という表示だけで全地域の話し方を認識できるとは限りません。地名や人名は文字でも示すと確認しやすくなります。地域別の詳しい整理は中国語の音声翻訳ガイド をご覧ください。
| 目的 | 見る設定 | 注意点 |
|---|---|---|
| 普通話を日本語に訳す | 中国語の音声入力と日本語の出力 | 地域の発音、英語混じりの会話、固有名詞は実際の話者で試す |
| 台湾華語を訳す | 台湾の中国語音声と繁体字出力 | 台湾語・台語の対応と混同しない |
| 広東語を訳す | Cantonese/広東語の音声入力・出力 | 文字翻訳への対応と、会話やオフラインへの対応は別 |
| 資料を読む | 簡体字/繁体字、文書形式、OCR | OCR(画像の文字認識)と、その後の翻訳を分けて確認 |
アプリ・辞書9選
1. VoicePing:会議と出張

会議の文字起こし・翻訳・記録をまとめて扱いたいチーム向けです。PCアプリで会議音声を扱う方法と、会議へBotを招待する方法があります。Meeting Botの参加方法 は主催者の設定と合わせて確認します。
モバイルのオフライン翻訳 は、必要なモデルを先に取得して使います。簡体字・繁体字中国語の音声認識に加え、広東語は入力のみ対応。広東語を翻訳先に選べるという意味ではありません。オフラインの処理と記録は端末内で完結します。
- 利点: 出張先での対面会話と、社内の多言語会議を用途に応じて使い分けられる。
- 注意点: 会議用のオンライン機能と、モバイルのオフライン機能は別。必要な保存・共有機能は契約プランで確認する。
- 料金: Freeはオンライン90分/月、オフライン60分/日。個人プランは1名・450分で月額3,163円(税込)、オフライン無制限。個人プランに年払いはありません。公式料金 。
2. Google翻訳:旅行の会話

旅行先のメニュー、看板、店員との短いやり取りに使いやすい汎用アプリです。Androidのライブ翻訳 には中国語の簡体・繁体と日本語が掲載されています。会話モードでは交互に話し、原文も確認します。
- 利点: 文字・カメラ・音声を一つのアプリで扱える。
- 注意点: このライブ翻訳の言語一覧には広東語の明記がありません。テキストや別のGoogle製品の対応を、そのまま音声対応と扱わないでください。
- オフライン: 同ヘルプのライブ翻訳はPixel 9・10・11と特定の英語ペアに限定され、日本語↔中国語は掲載されていません。文字用パックを取得しても、この会話が圏外で使えるとは限りません。アプリは無料、通信費は別です。
3. DeepL:文書翻訳

中国語のメール、提案書、商品説明などを日本語で確認し、文章を整える用途に向きます。中国語の翻訳先は簡体字・繁体字を区別できます。文字の対応言語一覧には広東語も掲載されています。翻訳後は数量、否定、納期、社名を原文と照合しましょう。対応言語 。
- 利点: 文書や用語集を使った翻訳作業を進めやすい。
- 注意点: DeepL Voiceは音声向けの機能です。文書プランの購入だけで、必要な中国語の会議翻訳がすべて使えると判断しないでください。IndividualにはVoice月30分の案内もありますが、音声の対象言語と動作条件は別に確認します。
- 料金: Individualは年払いの月額換算1,150円、月払い1,380円(VAT込)。月30万文字・3ファイル、30日試用が案内されています。無料枠と有料試用は別です。日本を選択した公式料金 。
4. Microsoft Translator

1台のスマートフォンで音声や文字、画像を訳したいときの候補です。公式言語表 は、中国語の簡体・繁体と広東語(繁体)を分けています。広東語は文字・音声入力・読み上げに印があり、画像の欄にはありません。
- 利点: 入力と出力の対応を言語別に確認できる。対面では分割画面も使える。
- 注意点: 複数端末をつなぐ会話機能は廃止済みです。古い「グループ会話」の紹介を前提に選ばないでください。現行アプリの説明と更新履歴 。
- 料金: アプリは無料。Azureの翻訳APIやTeamsの通訳機能の契約とは別です。
5. Apple翻訳:対面会話

iPhoneの「翻訳」アプリで、文字・音声・カメラの翻訳を使う候補です。Appleの機能別言語表 では、翻訳アプリに北京語(中国本土)と北京語(台湾)が掲載されています。
- 利点: 対面表示や、取得済みの言語を使うオンデバイスの設定を選べる。
- 注意点: Siriなど別の機能に広東語があっても、翻訳アプリの対応を意味しません。電話・FaceTime・AirPodsのライブ翻訳も、端末・地域・言語条件が別です。
- 準備: iPhoneの翻訳設定 で両方の言語をダウンロードして試します。オフラインでは翻訳品質が異なることがあります。アプリは無料、対応するApple端末が必要です。
6. 百度翻訳:写真と文書

中国語の案内に慣れていて、写真や文書も訳したい人の候補です。百度翻訳APPの公式ページ は、撮影した文字、AI同時通訳、文書のレイアウト保持・書き出しを紹介しています。
- 利点: 中国語UIで、辞書・学習・資料の翻訳を選べる。
- 注意点: テキストの言語数から、広東語の音声やオフライン会話まで使えるとは判断できません。アプリ版・Web版・APIの機能と料金を分けて確認します。
- 料金: 公開紹介ページだけでは、すべての機能に共通する利用上限・日本向け料金を確定できません。使う機能の無料枠、会員料金、回数を購入画面で確認してください。中国本土での接続は実際の回線で試します。
7. 有道翻訳官:旅行での会話

有道の辞書製品と、旅行向けの「有道翻訳官」を区別して選びます。翻訳官の公式案内 には、音声、写真、オフライン翻訳と、iOS・Androidなどの入手先があります。
- 利点: 旅行中に、話した文や撮った文字を訳す用途を想定している。
- 注意点: 公開案内では、オフラインの全言語ペアや入力形式の条件を確認しきれません。日本語↔中国語の音声・写真を、取得したアプリで個別に試してください。広東語の音声対応も推測しません。
- 料金: 公式案内は無料の音声機能を紹介していますが、現在の会員機能・回数・追加料金はアプリ内で確認が必要です。辞書、翻訳官、法人APIの契約を混同しないようにします。
8. Papago:音声と手書き

日本語・韓国語・中国語をまたぐ短い会話や、手書きで文字を調べる場面の候補です。提供元のアプリ説明 には、簡体字・繁体字、画像・音声・手書き・文書の翻訳が掲載されています。
- 利点: 読みの分からない文字を手書きで入力でき、訳語の辞書情報も見られる。
- 注意点: 広東語の会話対応は、この説明だけでは確認できません。2026年9月1日の更新履歴はオフライン音声の追加を案内していますが、日本語↔中国語で使えるかはアプリの言語パックで確認します。
- 料金: アプリは無料。文書の月間枠や画像翻訳の回数制限があるため、無制限の業務翻訳として扱わないでください。
9. Pleco:中国語辞書

中国語の文章を読みながら単語を確認したい学習者向けの辞書です。Androidの公式案内 では、簡体字・繁体字、ピンイン・注音、広東語のローマ字検索や追加辞書を説明しています。中心となる中英辞書を、日本語への自動通訳と混同しないでください。
- 利点: 手書き、読み、OCR、文書リーダーを使って一語ずつ確かめられる。取得済みの辞書などはオフラインでも使える。
- 注意点: 広東語の辞書・音声アドオンがあることは、日本語との連続会話を自動通訳できるという意味ではありません。
- 料金: 基本アプリ無料。AndroidのBasic BundleはUS$29.99の買い切りで、OCRなどを含みます。税・決済通貨やiOSの条件は購入先で確認します。公式バンドル価格 。
翻訳機・イヤホン4選
10. ポケトーク S2:共用端末

受付や店頭に、個人のスマートフォンとは別の翻訳端末を置きたい場合の候補です。中国語の簡体・繁体と広東語を含む音声対応を公式言語表 で確認できます。
- 利点: 端末のボタンと画面を使って会話でき、カメラ翻訳も備える。
- 注意点: クラウド翻訳のため通信が必要です。SIM付きという条件を、オフライン対応と読み替えないでください。通信対象地域と有効期間も確認します。
- 料金: S2はグローバル通信2年付き36,300円、5年付き56,100円(いずれも税込)。S2 Plusとは本体・価格が異なります。公式ラインアップ 。
11. iFLYTEK Smart Translator

ここで比較するのはiFLYTEK Smart Translatorです。メーカーのグローバル向け仕様 は、音声60言語、カメラ50言語、オフライン翻訳、翻訳記録の書き出し、2年間の通信パッケージを案内しています。
- 利点: 専用ボタンとマイクを備え、対面の会話に使える。
- 注意点: Smart Translator、Dual Screen、国内向けモデルを区別してください。中国語の方言や日本語とのオフライン対応は、販売される型番の言語一覧で確認が必要です。グローバル版の通信条件を日本向け保証として扱いません。
- 料金・入手性: 現在の日本向けSmart Translatorの販売価格と在庫は確認できていません。旧キャンペーン価格で購入できるとは案内しません。日本法人 または販売店に型番・保証・通信更新費を確認してください。
12. Timekettle W4 Pro

対面会話や通話・メディアの翻訳を、イヤホンで聞きたい人の候補です。スマートフォンとTimekettleアプリが必要で、イヤホン単体では翻訳しません。日本向けW4 Proページ で対応端末とモードを確認します。
- 利点: 会話を聞く用途に使え、オンライン一覧には中国語と広東語を別々に掲載している。
- 注意点: オフラインは指定の13言語ペアです。中国語↔日本語は含まれますが、オンラインの52言語・106アクセントをすべて圏外で使えるわけではありません。通話・メディアの条件も別です。
- 料金: 日本ストア表示68,999円。税・送料や追加サービスは購入時に確認してください。W4、W4 Pro、W4 Plusの料金・仕様を混同しないようにします。
13. Vasco Translator V4

スマートフォンと別に持つ、音声・カメラ・文字用の翻訳機です。日本向けV4の機能別言語表 は、中国語の簡体字・繁体字・広東語について、音声認識と発声を掲載しています。
- 利点: 対象地域で利用する翻訳用の通信SIMを内蔵。メーカーは約200の国と地域で、更新不要の通信を案内している。
- 注意点: 通信費の追加が不要なことと、圏外で使えることは別です。ネットワーク接続が必要で、訪問先の対象地域・キャリアを確認します。Q1の通話機能や料金をV4に当てはめません。
- 料金: 日本向けページの表示価格55,000円。税の内訳など最終条件は購入画面で確認してください。
システムへ組み込むAPI
14. Tencent TMT:翻訳API

社内ツールやWebサービスに中国語翻訳を組み込む開発者向けです。Tencent Machine Translation(TMT) へ原文と翻訳先を送信し、訳文を受け取ります。単独で旅行会話をするスマートフォンアプリではありません。
- 利点: 問い合わせ文やWeb上のテキストなど、既存システムの処理へ翻訳を組み込める。
- 注意点: 音声認識、読み上げ、OCR、ファイル解析の提供・費用は別に確認します。APIの中国語対応から、広東語音声の対応は推測できません。認証、文字数上限、失敗時の再試行、データ取り扱いも設計が必要です。
- 料金: 国際向け公式ページの表示は100万文字あたりUS$10、日次請求。漢字・英字だけでなく、句読点や空白も文字数に数えます。税や契約地域の条件は別途確認してください。
14サービスの料金と契約条件
無料アプリ、月額サービス、買い切り端末、従量課金APIは課金単位が異なります。2026年9月19日確認。下記は代表条件で、すべてのプランを同じ料金として比較する表ではありません。
| サービス | 代表料金・無料枠 | 単位と条件 |
|---|---|---|
| 1. VoicePing | Free:無料 個人450分:3,163円/月(税込) | Free:オンライン90分/月+オフライン60分/日。個人:1名、月払いのみ、オフライン無制限。 公式条件 |
| 2. Google翻訳 | 無料アプリ | 通信費は別。Cloud Translation APIの料金は含まない。 公式条件 |
| 3. DeepL | Individual:年払い1,150円/月換算、月払い1,380円(VAT込) | 月30万文字・3ファイル。30日試用。Voice月30分の案内あり。音声の言語・動作条件は別に確認。 公式条件 |
| 4. Microsoft Translator | 無料アプリ | Azure APIやTeamsの契約とは別。複数端末会話は廃止済み。 公式条件 |
| 5. Apple翻訳 | 無料アプリ | 対応Apple端末が必要。電話・AirPodsなどは別の動作条件。 公式条件 |
| 6. 百度翻訳 | 機能・契約画面で確認 | 無料枠、有料会員、文書・同時通訳の上限を個別に確認。 公式条件 |
| 7. 有道翻訳官 | 無料音声の案内あり | 現在の会員機能、回数上限、追加料金はアプリ内で確認。 公式条件 |
| 8. Papago | 無料アプリ | 文書の月間枠・画像の回数など、機能別の制限を確認。 公式条件 |
| 9. Pleco | 基本無料 Android Basic Bundle:US$29.99買い切り | OCRなどの追加機能。iOS・税・決済通貨は購入先で確認。 公式条件 |
| 10. ポケトーク S2 | 2年通信付き:36,300円 5年通信付き:56,100円(税込) | 1台の価格。通信期限後の更新費を確認。S2 Plusとは別。 公式条件 |
| 11. iFLYTEK Smart Translator | 日本向け現行価格・在庫は要確認 | 型番、国内保証、通信期間・更新費を販売店へ確認。 公式条件 |
| 12. Timekettle W4 Pro | 日本ストア表示:68,999円 | スマートフォン・アプリが必要。税・送料・追加サービスを確認。 公式条件 |
| 13. Vasco Translator V4 | 日本向け表示:55,000円 | 対象地域の翻訳用通信を含む。税の内訳・最終条件は購入時に確認。 公式条件 |
| 14. Tencent TMT | 国際向け表示:US$10/100万文字 | 日次請求。句読点・空白も算入。開発・周辺API・税は別。 公式条件 |
導入前に試す7項目
- 音声: 実際の話者に会社名・数量・納期を話してもらい、原文の文字起こしから確認する。
- カメラ: 縦書き、細かい文字、暗い店内、簡体字と繁体字を試す。文字の読み取りミスと翻訳ミスを分ける。
- 文書: 表の行・列、単位、否定表現、固有名詞を照合する。スキャンPDFはOCRの条件も調べる。
- オフライン: モデル取得後、機内モードで日本語と相手の言語を往復させる。写真・音声・文字を別々に試す。
- 接続: 中国本土で使う回線と端末で、ログインから翻訳までを確認する。宿泊先の住所や緊急連絡先は文字でも保存する。
- データ管理: 音声・画像・文書の送信先、保存期間、削除方法、共有権限を確認する。
- 共用運用: 端末の充電、マイクの距離、操作説明、アカウント管理を決める。重要な判断では訳文だけに頼らず、人が内容を確認する。
場面別の使い分け
商談:発言と合意を分けて残す
翻訳された発言から、価格・数量・納期・担当者を抜き出し、会議後に文章で確認します。例えば「500個を10月末まで」と聞こえたら、単位や日付を元の発言と照合してから記録します。会議用のVoicePingと、メールを整えるDeepLを組み合わせる場合も、同じ用語表を用意すると確認しやすくなります。
旅行:短く聞き、地名は文字でも示す
道順は一度に長く説明せず、「この入口ですか」「次の駅ですか」のように分けて聞きます。地図の店名・住所を中国語の文字で見せると、同音の地名を取り違えにくくなります。台湾を訪れる場合は、台湾華語・台語と観光地での使い分け も参考になります。
文書:訳す前に表記をそろえる
社名・製品名・型番は勝手に意訳しないよう、残す表記を決めます。簡体字から繁体字へ文字を変換するだけでは、台湾・香港など地域ごとの語彙まで自然になるとは限りません。公開する資料は対象地域の読み手に確認してもらいましょう。
学習:訳文から一語を調べ直す
機械翻訳の文章を丸暗記する前に、Plecoなどで語の意味と読みを確認します。音声認識が成功しても、発音が母語話者と同じだと判定されたわけではありません。声調や文脈は別に練習します。
受付:繰り返す説明を準備する
営業時間、受付番号、支払い方法など、繰り返す案内を短い文で用意します。専用端末を使う場合は、翻訳前後の画面を相手と確認し、混雑時に誰が操作するかも決めておきます。個人情報を含む履歴の削除手順もそろえましょう。
出発・導入前の確認
- 相手が使う言葉と、表示する文字を決めた。
- 必要なモデル・辞書を取得し、圏外でも試した。
- 料金の単位、分数・回数、通信期限を確認した。
- 会社名・地名・数量を実際の話者で試した。
- 原文と訳文を照合し、履歴を削除する方法を確認した。


